2012 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の沖縄と台湾における「旧慣」調査の比較研究―田代安定関係資料に基づいて
Project/Area Number |
23720323
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大浜 郁子 琉球大学, 法文学部, 准教授 (60459964)
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Keywords | 田代安定 / 田代安定関係資料(=「田代文庫」) / 沖縄関係資料 / 「旧慣」調査 / 近代台湾 / 近代沖縄 / 近代日本 / 翻刻 |
Research Abstract |
今年度は、台湾大学図書館所蔵「田代安定関係資料」(=「田代文庫」)中の「沖縄関係資料」の重点的な調査を継続して行った。主に「手稿類」と「筆記類」を仮目録と原史料と照合する作業が必要であったが、史料修復期間中には原史料との照合が困難であったため、急遽、すでに電子データ化された史料を優先して、確認作業を行った。 翻刻作業についても、修復中の史料を除いて、電子データ化された史料を優先的に翻刻するように努めた。 現地調査に加えて、本研究が最終年度を迎える次年度に、国内での全国学会の大会報告を計画しており、その準備として複数地域における国内調査を実施した。 「田代文庫」中の「沖縄関係資料」の目録完全版に関する台湾大図書館と研究代表者による協働作業は、(年度単位の契約満了につき)今年度末をもって終了した。 今年度は、田代安定に関する研究報告を、国際シンポジウム「第七屆臺灣總督府档案學術研討會」(台湾・國史館臺灣文獻館主催、2012年8月)と、国際フォーラム「第五屆台日原住民族研究論壇」(台湾・國立政治大學原住民族研究センター主催、同年8月)において、(台風による開催延期のため)代読にて行った。報告内容は、前者は『第七屆臺灣總督府档案學術研討會議論文集』(2013年5月刊行予定)に、後者は同国際フォーラム論文集に掲載された。さらに、後者については査読を通過し、『民族學界』第31期(台湾・2013年4月刊行予定)へ掲載決定している。また、田代に関連する研究報告を国際シンポジウム「第一屆東亞語文社會國際研討會:以日本・韓國・越南爲出發點」(台湾・國立高雄大學東亞語文學系主催、同年5月)にて行い、報告内容は同国際シンポジウム論文集に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)「田代文庫」(台湾大学図書館所蔵)に収録される「沖縄関係資料」の目録完全版の作成、(2)「田代文庫」中の「沖縄関係資料」の全文翻刻、(3)国内外に現存する田代の関係資料や「田代文庫」を基に、近代日本による沖縄と植民地台湾における統治政策をめぐるいくつかの問題(沖縄と台湾における「旧慣」調査の比較や八重山諸島に関する「植民」論など)の解明の3つが目的である。 (1)については、若干の史料に関して仮目録と原史料の照合作業が残るが、概ね計画通りに進展している。全体の3分の2程度進んだ段階である。(2)については、実際に翻刻作業を進めていくうちに、特に「手稿類」と「筆記類」に関して、「田代文庫」中の複数の史料との照合作業(前後関係を確定するため)が必要であることがわかり、当初計画よりやや多くの時間を要している。(3)については、昨年度に引き続き、今年度も成果が得られた内容については、国内外の学会や国際シンポジウムにて積極的に公開し、関係者との学術交流をフィードバックして、調査研究へ反映させている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度のため、台湾大学図書館所蔵「田代文庫」中の「沖縄関係資料」の目録完全版を完成させること、「田代文庫」中の「沖縄関係資料」の翻刻を可能な限り進展させること、国内外の田代関係資料の収集と目録作成と、同目録と電子データの関連づけを可能な限り完成させることを目指す。 また、これまでの調査で構築したデータに基づく研究成果の公表として、国内(2013年7月開催予定の日本植民地研究会全国大会、同年12月開催予定の沖縄八重山・奄美・宮古の三者合同研究会大会)における研究報告を予定している。これまでにも行ってきた研究報告をも踏まえて、田代安定の「旧慣」調査に関する研究論文をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、最終年度のため、継続調査も行いつつ、補完調査に重点を置き、春季に鹿児島調査(1回)、7月に東京での学会発表(1回)、夏季休暇期間中に台湾調査(1回)、青森調査(1回)、冬季休暇中に台湾調査(1回)の旅費を計上する。 物品については、本研究で得られたデータの最終保存用HDDと比較的安定性の高いフラッシュメモリーの費用を計上する。
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Research Products
(9 results)