2013 Fiscal Year Annual Research Report
漢人商業地区「買売城」から見る清代モンゴルの経済構造
Project/Area Number |
23720341
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 憲行 東北大学, 東北アジア研究センター, 専門研究員 (50534179)
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Keywords | モンゴル / 清代 / 漢人 / 公文書史料 |
Research Abstract |
本研究は漢人商業地区買売城の視点から、清代ハルハ・モンゴルにおけるモンゴル人と漢人の社会経済関係の解明を目指すものである。 最終年度はモンゴル(ウランバートル)、中国(上海)などに出張し、現地の公文書館、図書館で史料調査を実施した。また現地研究者との研究交流を通じて、本研究に関する貴重な示唆を得ることができた。このほか、国内外で刊行された史料集、関連書籍を収集した。 モンゴル国立公文書館では、前二年の史料調査より抽出した問題点のうち、耕作地問題に焦点を絞り、主に道光三~四年のハルハ中北部居住の漢人管轄問題関連史料を調査した。研究成果の概要は以下の通りである。 一.シャビナル管轄の耕作地で漢人が耕作を行う場合、買売城の商人(さらには耕作地のあるザサグ旗のタイジら)も関与するケースがあったこと。二.『理藩院則例』巻三十四所収のハルハ・モンゴルにおける耕作地関連規定は、欽差大臣が上奏した問題解決案の一部であり、現地で漢人管轄の責務を負う官員の処理案を参考とした可能性が高いこと。三.この問題は過去の諭旨の内容を現地の責任者が「忠実に」実行することにより起こったものであるが、そもそも、諭旨自体が矛盾を含む内容であるたこと。四.それゆえ、現地の大臣や官員には、現場の状況を考慮した現実的な対処が求められていたこと。 研究成果の公開については、昨年調査したザサグ旗民とシャビナル間の耕作地を巡る紛争に関して国内研究会で報告を行った。上述した成果も含めた論文を学術雑誌への投稿を準備中である。
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Research Products
(2 results)