2011 Fiscal Year Research-status Report
対日BC級戦犯裁判における台湾人戦犯の研究―中英仏豪の戦犯裁判を中心に―
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23720356
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
和田 英穂 尚絅大学, 比較文化学部, 准教授 (90441899)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(中、台、英、仏、シンガポール) |
Research Abstract |
今年度の最大の目標であった資料調査については、研究代表者はおおむね予定通り実施した。特に中国での資料調査では、あまり情報の知られていない福建省档案館及び厦門市档案館にも訪れた。両档案館は残念ながら外部公開があまり進んでおらず、外国人単独での調査は非常に困難であることから、中国の研究者の協力が必須である。しかし、厦門大学台湾研究院の陳小冲教授との意見交換の際、当時の台湾人戦犯追及にあたっていた組織が出版した貴重な文献を手に入れることができ、研究の進展が期待できる。また、広東省档案館では台湾人戦犯・漢奸の資料を閲覧・収集することができた。 日本の国立公文書館及び外交史料館での資料調査では、台湾人戦犯の釈放に関する貴重な資料を閲覧・収集することができた。 また、中央研究院台湾史研究所(台北)主催のシンポジウム「台湾人の海外活動」では、報告者として出席した。その際、研究協力者の許雪姫教授等と意見交換を行った。許教授の行った台湾人の聞き取り調査において、漢奸追求を受けたケースがあることを確認し、聞き取り内容についての貴重な資料を得た。また、当時厦門で発行していた新聞『江声報』に有用な情報が多く存在している情報も得られた。 これらの調査で得られた成果の公開については、現在研究報告や論文投稿の形で鋭意準備中である。 研究協力者による英仏豪における資料調査については、勤務先の事情や体調不良により遅れが出ている。しかし、それぞれの公文書館については、その状況や資料の存在は把握していることから、次年度に期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の予定していた資料調査は概ね予定通り実施した。しかし、研究協力者が予定していた英仏豪における資料調査は、勤務先の事情及び体調不良によって遅れている。しかし、次年度に集中して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れが出ている英仏豪の資料調査分を合わせて、引き続き資料調査を行う。また、別途日本、台湾、イギリス、シンガポール、オーストラリアの研究者を招へいし、熊本でワークショップを開催する予定である。後者は、原則非公開の小規模の集会だが、その分積極的かつ深い議論を展開し、非常に幅広い意見交換及び国際的な研究者間ネットワーク構築が期待できる。また、その際得られた関連情報や研究課題をもとに、より適格な資料調査も期待できる。 これらの活動で得られた成果については、それぞれ研究報告や論文投稿での積極的な公開や、WEB上での公開等を積極的に推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遅れた出た分(残額分)については、引き続き英仏豪での資料調査にあてる。研究代表者分については、予定通り日本と台湾での資料調査に使用する予定である。 また、熊本でのワークショップ開催を予定していることから、その他多くの研究費を招へいに必要な旅費等に使用する計画である。
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