2012 Fiscal Year Research-status Report
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23720383
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三吉 秀充 愛媛大学, 法文学部, 助教 (50284386)
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Keywords | 初期須恵器 |
Research Abstract |
平成24年度は、松山平野南部に所在する市場南組窯跡において昨年度検出していた灰原の発掘調査を中心に研究を進めた。具体的には、平成25年2月~3月に市場南組窯跡7次調査を実施し、谷部に形成された灰原の広がりを明らかにすることができた。同年3月下旬には関連分野の研究者に現地を公開し、調査成果に関する助言を受けた。灰原から出土する遺物の多くは窯壁片であり、須恵器は少ない。須恵器の器種組成を見ると、壺・甕胴部片が中心であることから、市場窯跡における生産は、小規模であり、壺・甕の生産が中心であったと想定される。しかし、灰原は当初想定していた残存状況より良かったこともあり、完掘までにはいたっておらず、次年度への課題となった。 遺物に関しては、平成23年度に実施した市場南組窯跡6次調査出土遺物の洗浄・注記・接合作業を中心とした整理作業を実施した。市場南組窯跡3~5次調査ならびに長井数秋氏採集資料との接合関係について検討を行い、これまでの資料との対応関係について整理を行った。また、平成24年5月、関連分野の研究者に出土須恵器に関する関連資料等の教示を得た。 消費地資料に関する資料分析では、主に松山平野内集落遺跡出土資料を対象として実際に資料調査を実施し、資料の検討を行うと同時に、市場窯跡で生産されたと考えられる消費地出土の須恵器に関して、胎土分析を実施した。しかし、分析資料が少ないことから須恵器の生産地を確定するまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成24年度中に市場南組窯跡の灰原の発掘調査を終了する予定であったが、想定よりも灰原の残存状況が良かったこともあり、灰原の発掘調査を終了することができなかった。これにより研究計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は市場南組窯跡における発掘調査を補足調査と予定していたが、平成24年度の進捗状況から本格調査が必要である。しかし、現状では最終年度である平成25年度のみの発掘調査では、市場南組窯跡の灰原の完掘は難しいと予想される。そこで、本科研における成果のとりまとめに必要な地方窯跡の評価を行える状況まで調査を行い、その上で地方における初期須恵器窯跡の実体解明を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費残額は約36万円である。このうち約25万円は平成25年3月に実施した発掘調査に伴う謝金等として支払い予定である。残りの約11万円は、当初、市場南組窯跡調査・出土遺物検討会開催時の研究者招聘費用として予定していたものだが、必要なくなったため残額となった。平成25年度実施予定の発掘調査関連費として執行予定である。 平成25年度の研究費の使用計画については、発掘調査に伴う謝金等に15万円、発掘調査に伴う消耗品等に25万円、消費地における須恵器の資料調査に伴う旅費として約20万円を予定している。
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Research Products
(2 results)