2011 Fiscal Year Research-status Report
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23720395
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
北山 峰生 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 研究員 (20332463)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 考古学 / 煉瓦 / 近代化 / 近現代史 / 建築史 |
Research Abstract |
本研究は、煉瓦生産の考古学的な分析を通して、日本の近代化過程とその問題点を明らかにすることを目的とする。この研究の実施に当たり、(1)個別資料の観察・分析および資料化、(2)検討結果の中間報告、(3)学際的な総合的検討、(4)公開シンポジウム開催による研究成果の集約、といった諸段階を踏まえることを計画した。このうち、平成23年度は個別資料の観察・分析と、検討結果の中間報告を実施した。 個別資料の観察・分析は、発掘調査資料と、現存する煉瓦建築物とを二本柱として実施した。発掘調査資料は、旧神戸外国人居留地遺跡出土煉瓦、および灘酒蔵群出土煉瓦を重点的に観察・分析した。ここでは、煉瓦の製作過程で施されるさまざまな加工が、製品の外面にいかに現れるかを検討した。現存する煉瓦建築物は、奈良県内に所在するものを主とし、他府県に所在するものを副として観察した。ここでは、各建築物に使用される煉瓦の規格が年代別にいかに変化するか、またある特定の製造事業者が用いる刻印が認められた場合には、その分布範囲はどれほどであるか、を中心課題として取り組んだ。 検討結果の中間報告として、大阪歴史学会考古部会で研究発表を実施するとともに、大阪歴史学会との共催で公開シンポジウム「煉瓦生産と近代考古学」を開催した。考古部会では、資料の現状と観察の結果を公にすることで、進捗状況の中間報告とした。また、公開シンポジウムでは、煉瓦に軸足を置いた場合の、近現代史に対する考古学的な視点を提示することに努めた。その成果は、大阪歴史学会の学会誌である『ヒストリア』第231号に、論文として掲載した。 以上の活動を通じて、文献史学・建築史学等をまじえた学際的な総合的検討を実施するための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始にあたって計画した4段階のうち、平成23年度に予定していた2段階までを順当に進めているから。ただし、個別資料の観察・分析は予想以上に時間がかかり、進捗が遅れている。一方、公開シンポジウムや論文執筆を通じての研究成果の公開は、予定を先取りして実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に予定通り進行できなかった個別資料の観察・分析をさらに進める。また、考古学的な分析にとどまらず、文献史学や建築史の分野との学際的研究を進展させる。そして、最終的に再び公開シンポジウムを開催することで、研究成果を集約するとともに、情報公開の責を果たす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度研究費のうち、64,316円が未使用として残ったが、これは『日本科学技術体系』の購入を予定していながら、その図書が希少であるために入手が間に合わなかったためである。これについては、平成24年度はじめに解決する手筈となっている。平成24年度に申請する研究費は、個別資料の調査を継続するとともに、検討会や公開シンポジウムの開催、そして研究成果の印刷にあてる予定である。
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Research Products
(4 results)