2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国における企業立地環境の変化と立地調整に関する研究
Project/Area Number |
23720405
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 康久 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10362302)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 校弁企業 / 情報サービス産業 / 教育機関としての大学 / 瀋陽 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年間の研究プロジェクトの仕上げとして、当初の研究計画書にて、中国における企業立地環境の変化についての5つ目の調査として挙げていた、中国の産学連携企業の発展状況に関する事例調査の内容を査読付学術雑誌に投稿し、掲載にこぎ着けることができた。 具体的には、中国東北地方の瀋陽市に本社を持つ東軟集団を事例として、同社が、大学発ベンチャー企業が抱えがちな諸課題を克服し、ソフトウェア受託開発・IT ソリューションの分野では中国有数の企業にまで成長した背景について検討した。その論文の内容は以下の通りである。 同社の特徴として、大学発企業でありながら、技術力以外の側面,すなわち顧客サービスや営業・販売戦略を重視する経営理念を採っているという点や,起業当初から取引先である外資系企業等からも多くの出資を受け、資金を確保することができた点が挙げられる。加えて大学が持つ教育機関としての側面を活かし、従業員への教育・トレーニング制度が充実している点をアピールすることで、中国東北地方の大学を卒業した新卒 IT 人材を比較的安い賃金で採用することにも成功している。同社の事例からは、経済発展の速度が比較的遅れているとされてきた東北地方の都市において、大学発ベンチャー企業を創出・育成していくためには、技術開発に特化した企業を目指すだけでなく、大学発企業が有する教育機関としての強みをより活かす方向での発展戦略を採ることも有効である点が示唆された。 この他にも、近年の企業立地環境の変化と新卒大学生の就職活動との関連について、山東省済南市にて行った調査結果や、日系企業で現地採用者として働く日本人若者に関する調査結果を論文にまとめ、学会誌等に掲載される見込みとなっており、多くの研究成果が得られた。
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