2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730016
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中島 宏 山形大学, 人文学部, 准教授 (90507617)
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Keywords | フランス / 共和主義 / 信教の自由 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度として研究成果を論文にまとめる予定であったが、その時間的余裕を確保することができなかった。しかし、研究課題に関連する実績として共訳書および翻訳の公表を行うことができた。また、継続的な研究のために、オランド政権下のライシテ再検討作業という素材を発見することもできた。 一年目は、ブルカ禁止立法に関する一次資料の検討を中心に行い、二年目は欧州人権裁判所判例の分析を行った。本年度は、フランス共和主義と近年のライシテ強化立法との関係についてのフランス人研究者の論文を翻訳する作業を行った。その成果は、山元一・只野雅人編訳の『フランス憲政学の動向』(慶應義塾大学出版会、2013年8月)に収録されたパトリック・ヴァクスマン(訳:中島宏)「公的自由の制限を可能にする新たな技術」、およびミシェル・ヴィヴィオルカ(訳:中島宏)「倫理と人権:政治への回帰?」山形大学法政論叢57号(2013年11月)として公表した。そこで指摘されるのは、個別的な宗教問題が提起されるたびに立法府がライシテ強化という形でこれに応えようとし、立法の質が低下しているという問題である。また、従来より現場と立法の距離が指摘されてきた。 そのような反省点から、政権交代後のフランスにおいては、包括的なライシテ憲章の制定を検討中である。継続的な研究課題として、その再検討作業の分析を設定することができたことが本年度の最大の成果である。
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