2011 Fiscal Year Research-status Report
競争規制の歴史的成立をめぐって――ホームズの理論的寄与――
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23730050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝澤 紗矢子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40334297)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 経済法 / ホームズ / 歴史 / 思想 |
Research Abstract |
平成23年度は、アメリカ合衆国における競争の観点からの法規制の成立に、オリバー・ウェンデル・ホームズのどのような思想がいかに寄与したかを探求する、という研究目的の下、まず、ホームズが意見を書いた反トラスト法判例を収集し、読む作業に時間をかけた。その中で、ホームズが反対意見を執筆したDr. Miles Medical Company v. John D. Park & Sons Company, 220 U.S. 373 (1911)をとくに精査した。具体的には、反トラスト法の下での再販売価格の違法性判断基準について、ヒューズ法廷意見との対抗関係において、ホームズ反対意見が、ブランド間競争に重視という現代に通ずる重要な視点を提供していることが読み取れた。そしてその背景に、需要者に選択の余地がある、つまり競争が働いている限りは事業者の事業活動の自由を重視し、司法の介入は最小限にとどめるべきであること、そうでなければ長期的に見て需要者の利益にもならないだろうこと、という考え方が示されていることがなが明らかとなった。本年度の検討から、複数の意見に表れたホームズの思考方法は、少なくとも現代の反トラスト法の考え方に通じるような重要性と新鮮さを持つことが明らかになった、という意義がある。一方で、アメリカ合衆国における競争の観点からの法規制の成立にホームズがいかに寄与したか、という本研究課題の中心部分は本年度の研究内容からは十分解明できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に予定されていた研究内容自体は概ね達成できた。しかし、その研究成果について、当該年度でまとめられる部分だけでもまとめて公表する予定で準備を進めていたものの、最終的な公表には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究をもとに、平成24年度はホームズの主要著作である『コモン・ロー』『法の道』に表れた、競争をめぐるホームズの思想を分析・検討する。そのうえで、平成25年度に、両年度の研究内容を統合し、アメリカ合衆国における競争の観点からの法規制の成立に、ホームズの思想がどのように寄与したかを具体的に明らかにし、その研究成果を公表したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は本年度の研究を効率的に推進することに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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