2013 Fiscal Year Annual Research Report
共有者の内部紛争における固有必要的共同訴訟の構造・手続規律
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23730097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鶴田 滋 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90412569)
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Keywords | 遺産分割訴訟 / 相続権不存在確認訴訟 / 共有物分割訴訟 / 固有必要的共同訴訟 |
Research Abstract |
平成25年度における本研究の成果は、主に次の2点にある。 第一に、「共有者を原告・被告とする訴訟における固有必要的共同訴訟の成否」と題する論文を、法律時報85巻9号に掲載した。本論文は、共有者が第三者を被告として共有物全体について訴訟を提起する場合、および、第三者が共有者を被告として共有物全体について訴訟を提起する場合における、固有必要的共同訴訟の成否について論じたものである。この論文において、共有の対外的主張における固有必要的共同訴訟の根拠は、係争権利関係についての実体法上の処分権能が共有者全員に共同して帰属することであることを確認した。したがって、本研究課題の前提を改めて本論文において確認することができた。 第二に、「共有者の内部紛争における固有必要的共同訴訟の根拠と構造」と題する論文を執筆し、脱稿した。この論文は、平成26年度中に有斐閣より出版される予定の、伊藤眞先生古稀祝賀論文集に掲載されることとなっている。本論文においては、平成23年度以降の研究成果を踏まえて、主に次の3点を明らかにした。すなわち、(1)共有物分割訴訟は、訴訟の対象となる実体的形成訴権としての「共有物分割訴権」の権利義務帰属主体が、共有物全体を共同してのみ処分しうる共有者全員となることから、共有者全員が原告または被告となる固有必要的共同訴訟となること、(2)遺産分割審判は「遺産分割訴権」の権利義務帰属主体である共同相続人全員を当事者とすべき固有必要的共同審判であるため、当該「遺産分割訴権」に既判力を及ぼすための遺産分割審判の前提問題となる民事訴訟においても、遺産分割審判における固有必要的共同審判の規律がそのまま適用されるべきであること、(3)遺産分割審判の前提問題についての訴訟は、「遺産分割訴権」の当否を問題とするので、三面訴訟の構造を有するとする必要はないこと、などを明らかにした。
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