2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730126
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 達弘 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80338574)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 著作権 / 権利制限 / フェアユース / 著作権法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、当初計画通り、わが国著作権法上の権利制限規定に関する望ましい立法論についてまとめるための具体的な検討を行った。そこでは、著作権について権利制限規定を設けつつ補償金請求権を付与する形で立法の在り方について、ドイツやイギリスを中心とする外国法や、法定報酬請求権、裁定制度等の強制許諾制度、拡大集中許諾(ECL)といった関連する立法例を含めて、検討を行った上で、2015年3月には、CRIC著作権研究会で「著作権法における権利の在り方~制度論のメニュー~」という研究報告を行い、その講演録は、コピライト誌6月号に掲載される予定である。 また、著作権の制限についてのみならず、著作者人格権の制限についても、あわせて検討を行った。ちょうど2014年9月17~20日に、国際著作権法学会であるALAIのブラッセル大会が開かれ、ここで「Moral Right in the "Cloud" Environment」と題して、デジタル時代における著作者人格権の制限ないし制約に関する研究報告を行った。ここでは、最近デジタル化時代において著作者人格権を制約すべきだとする見解があるが、ドイツ等の諸外国を含めた従来の議論における立法例や解釈論によれば、デジタル時代においても著作者人格権に関する大幅な制約は不要であるという考えを示した。このときの論文は、すでに公刊された。 以上のような過程で、そもそも著作権法上の権利はどのような性質のものであるべきか、という観点から、著作権の正当化根拠という基礎理論にまで立ち入って考察を行った。今後の基礎理論研究のための一つの大きな礎になったものと認識している。
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Research Products
(12 results)