2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ政治のイデオロギー的分極化と大統領選挙:オバマ政権誕生以後の検証
Project/Area Number |
23730129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 将人 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80588814)
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Keywords | 大統領選挙 / アウトリーチ / 共和党 / 民主党 / 分極化 / イデオロギー |
Research Abstract |
平成25年度は、課題最終年度として、これまで行ってきた現地調査を踏まえ、アメリカの選挙におけるアウトリーチの全体像と今後の行方を包括的に明らかにした。第1に、「人種」をめぐる分極化の行方、言い換えれば、オバマ以後の選挙戦における「人種」の扱われ方をめぐる問題である。オバマは2008年の大統領選挙で「人種」を強調する選挙戦を行わず、2012年の再選選挙でもこの路線を踏襲したが、アフリカ系やマイノリティの間には、オバマに彼らの希望と代弁者であり続けることを望む声もあった。結果、オバマ陣営は、全国向けのメディアでは人種色を排除しつつ、特定の有権者集団だけにメッセージを届けられる回路では人種を強調する「二層併存」戦略を展開したが、これを支援したのがソーシャルメディアやインターネットの利用でもあった。第2に、イデオロギー的な分極化による党内分裂を抑制する「連合」形成の行方である。例えば、2012年選挙で民主党側では、農村・白人・労働者層を離反させない配慮に加え、退役軍人など公務員有権者も重視することで、反戦リベラル色からの脱皮で「中間層連合」形成を重視した。言い換えれば、マイノリティ、女性、若年層、専門職、労働者を階級横断的に束ねる新たな「リベラル連合」の形成努力であった。これら2点に焦点を絞り、前年度までの現地調査で入手した2008年・2012年大統領選挙資料に加え、平成25年度に行った政党関係者への追加の聞き取り等の質的調査成果を土台に論考を進め、学会誌論文と共著寄稿論文に成果をまとめた。
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