2012 Fiscal Year Research-status Report
中国の対外援助の政策目的およびその効果――日本のODAと比較して
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23730174
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
徐 顕芬 早稲田大学, アジア研究機構, 招聘研究員 (90434216)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国資料調査 / アジア |
Research Abstract |
本研究は、中国の対外援助の実態を明らかにし、中国と日本の対外援助の比較研究を行うことを目的とする。助成事業実施二年目にあたる平成24年度においては、中国の対外援助の政策目的およびその政策効果を検証することに重点を置いてきた。具体的には、①海外の資料調査、整理・利用、②国内外研究文献の整理・利用、③研究成果の発表、という三つのアプローチから研究を進めた。 中国の対外援助の実態を調べるため、地方档案館に出張して資料調査を行った。対ベトナム援助については、雲南省档案館に、対北朝鮮援助については、遼寧省档案館に行って資料を調べてきた。とくに雲南省档案館では、1950年代から70年代までの中国対ベトナム援助の資料、中央政策文書および地方援助実績の資料を収集することができた。また、研究交流を促進するため、中国商務部国際貿易経済合作研究院に訪問して、対外援助研究の関係研究員たちとワークショップを行った。中国国内の対外援助研究の先端に触れた。 そして、資料、文献の調査・利用面において、日本の対ベトナム援助に関する日本外務省外交史料館の開示文書を複製して、精読した。とくに1970年代における日本の対ベトナム援助の資料が見られて、1970年代日中両国の対ベトナム援助の比較研究ができた。 研究成果の発表については、学会報告と論文の執筆にて進めた。学会報告は4回行い、その内容としては、日中関係における対外援助の意味合い、日中両国の対外援助をめぐる日米中関係、日中両国の対ベトナム援助の比較研究、などを取り上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、二年目は、主として中国の対外援助の目的およびその政策効果を検証することを目的とした。 そのため、4回の研究報告を行い、2本の論文を書くことができた。 また、研究計画上、日本の対外援助との比較研究を3年目の目的としていたが、外務省外交史料館の資料を利用して、1970年代の日中両国対ベトナム援助の比較研究が一部できたことがよかったと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
助成事業3年目においては、中国と日本の対外援助を、実態(援助形態、量と質、供与地域など)や政策目的およびその政策効果などの視点から比較することを目的とする。 そのため、いままで実施できなかった、日中両国共通の対外援助の供与対象国への現地調査を行い、実際の援助プロジェクトを視察したい。 また、来年度は研究成果のまとめの年となるので、多くの精力を論文の執筆に傾ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として海外調査と研究成果の発表(校閲費など)に充てる。
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