2011 Fiscal Year Research-status Report
戦間期イギリスの国際関係研究とナショナリズムの問題
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23730176
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
山中 仁美 名古屋商科大学, 経済学部, 准教授 (30510028)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際関係学 / イギリス / 戦間期 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一次世界大戦終結から第二次世界大戦開始までの期間(以下「戦間期」と記す)のイギリスにおける国際関係学の発展を、国際秩序構想、とくにそこにおけるナショナリズムの問題と関連付けながら再検討することである。 本年度は、戦間期イギリスの国際関係学をめぐる先行研究の整理をおこない、主要な議論を組み立てる上で必要な文献を読み込んだ。特に、長らく黎明期の国際関係研究の主要素とみなされてきた「第一論争」の脱神話化と再検討に関する研究の動向に光を当て、分析した。その成果の一部は、津田塾大学国際関係研究所研究懇談会での報告「両大戦間期イギリスの国際関係研究における『19世紀自由主義の問題』」(24年7月21日)において口頭で紹介された。また、戦間期の国際関係をめぐる思潮や学説研究をマッピングし、その知見の一部を、討論者として参加した20世紀国際政治史に関する研究会にて示した。 また、本年度は次年次以降の海外調査の基礎づけをおこなうため、現地で入手すべき一次資料のリスト作りをおこなった。とりわけ、ナショナルな自決権や主権について論じた戦間期イギリスの国際関係学者たちの議論を追うため、当該の研究者を数名取り上げ、その思想や言行について歴史的に調査をするための下地をつくった。 そのほか、国際関係理論における「英国学派」の歴史と役割についても、研究会への参加を通じて新たな知見を得、上記のテーマと関連させるかたちで分析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のサーベイから開始し、実証研究のプロセスへと順当に進みつつある。しかし、補助金の交付の遅れという政治行政上の問題により、当初予定していたすべての資料の入手と分析が済んでいるわけではない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得た理論的・思想的知見を、戦間期イギリスにおける国際秩序観へと歴史的に繋げる作業をおこなう。イギリスに渡航し文書館で一次資料を収集したのち、その調査結果を国際政治学会にて報告し、助言やコメントを得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計上した旅費により、イギリスのNational Archivesや王立国際問題研究所における資料調査を実行する。物品費は、引き続きおこなう文献の収集や、複写文献の管理・閲覧に必要な機器の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)