2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730177
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
楠 綾子 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (60531960)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 日米同盟 |
Research Abstract |
今年度は夏休み(8~9月)と春休み(2~3月)の2回、計約1ヶ月、アメリカでの資料調査を実施した。アメリカ国立公文書館、議会図書館、コロンビア大学図書館、プリンストン大学図書館の所蔵する資料を調査し、1万点近い文書を入手した。とくに在日米軍の記録や日米の安全保障担当者による日常的な交渉記録、鳩山一郎政権期の安保改定交渉の記録などを収集できたのは大きな成果である。また、外務省の公開した外交文書のうち、沖縄返還の関連文書も収集した。 資料収集に並行して、今年度は日米同盟関係について2本の論文を執筆した。外務省が2009年に公開した「密約」関連文書などを用いて、占領期から沖縄返還までの日米同盟の変遷を明らかにした論文である。これらは「占領期の日米関係」「日米同盟の成立から沖縄返還まで」というタイトルで、竹内俊隆編著『日米同盟論-歴史・機能・周辺諸国の視点』(ミネルヴァ書房、2011年)に所収された。後者の論文については、7月に開催された北海道大学スラブ研究センター主催のシンポジウム"Alliances and Borders in the Making and Unmaking of Regional Powers"でその概要を報告した("The Evolution of Arrangements for U.S.-Japan Alliance")。 今年度に収集した文書は、1950年代の日米「同盟」がどのように運営されていたのかを明らかにするうえで有用な文書だと期待される。また今年度の論文は、日米間の安全保障関係のなかで在日米軍基地の運用の占める役割を概念的に示したものであり、今後の研究の基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1950年代は資料公開がきわめて進んでいる時代であり、すべてを網羅的に調査・収集するのは不可能に近い。今年度はトルーマン大統領図書館やアイゼンハワー図書館で資料調査を行う余裕がなかったため、未収集の文書はまだ相当あると思われる。また収集した文書の分析がやや遅れがちなことも、今年度の課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もひきつづきアメリカでの資料収集を行う。今年度に実施できなかった大統領図書館での調査、および軍関係の史料館・図書館での調査に集中したい。これに並行して、次年度は日米双方の資料の分析により時間を割く予定である。 資料分析をもとに、次年度は実証的な論文を執筆する。最終的には日米同盟において「共同防衛」が何を意味していたのかを明らかにする研究となるが、まずは鳩山政権期の安保改定交渉について論文をまとめたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に使用しなかった研究費は、主としてアメリカでの資料調査が東海岸だけで済んだことによるものである。次年度は交通事情のあまりよくない中西部まで足を伸ばすことになるため、未使用の研究費は資料調査用の旅費に補填したい。したがって、次年度についても旅費が研究費の多くを占めることになる。また資料調査に必要なデジタルカメラ、同盟研究、冷戦史研究など研究書の購入にも充てる予定である。
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Research Products
(3 results)