2013 Fiscal Year Annual Research Report
長期記憶時系列における統計的推測理論の構築とその経済データへの応用
Project/Area Number |
23730209
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
生川 雅紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30588489)
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Keywords | 長期記憶 / セミパラメトリック推定 / 周期性 / 多変量時系列 / 非定常過程 |
Research Abstract |
経済データにおいて特徴的な性質である,周期性・季節性の変動を有する長期記憶時系列に対するセミパラメトリックな統計的推測法について昨年度に引き続いて取り組み,その拡張と構築した方法を実際の経済データに応用した分析を行った。加えて,潜在的に非定常な長期記憶時系列も含む多変量長期記憶時系列に対するセミパラメトリックな推定法について取り組んだ。本年度の主な成果は以下である。まず,昨年度に構築した周期性を有する長期記憶時系列に対するセミパラメトリック推定法に,実用上問題となる周期が未知の場合にも対応できるよう,1段階目で周期を表す時系列過程の極をセミパラメトリック推定することを組み込み,2段階目において本研究で提案している方法によって長期記憶パラメータを推定するといった2段階推定法として,日本の鉱工業指数の月次データを用いた実証分析を行い,その成長率に周期的な長期記憶性が存在することを見出すことができた。以上を昨年度の成果と併せて研究論文としてとりまとめた。次に,複数の時系列が相互に関係しながら変動することを捉えるために,短期記憶・定常長期記憶・非定常長期記憶が混在するような多変量実数差分過程を考え,構成する各要素の記憶パラメータをセミパラメトリックに推定する方法に取り組んだ。既存の結果を上手く援用することにより,定常長期記憶過程にのみ従う多変量時系列を対象としたセミパラメトリック推定法と,ある条件下では潜在的に非定常長期記憶時系列含まれていても,同様の漸近的性質が成立することを示し,数値実験からも特定の範囲内の非定常性であれば機能することを確認した。以上の成果をとりまとめ,学会にて研究報告を行った。
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