2015 Fiscal Year Annual Research Report
自然資源の市場モデルの精緻化と過少利用問題の理論・実証的解明
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23730222
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河田 幸視 近畿大学, 経済学部, 准教授 (60449022)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ジビエ / 過少利用 / 再導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間を延長したため、本年度は、昨年度保留した研究を実施した。本年度は最終年度であることから、今後の研究の展開に関する計画を含めて記述する。 狩猟獣の過少利用によって発生する諸問題を軽減する方策として、1)狩猟獣を捕食する大型肉食獣の導入(日本では、オオカミの再導入)と、2)狩猟獣の獣肉の活用による狩猟インセンティブの向上が考えられる。後者の獣肉の活用については、書籍の章として発表するとともに、関連する報告を、国際コンファレンスでおこなった。これらの詳しい内容については、昨年度の「研究実績の概要」に記載している。次に、前者の肉食獣の再導入に関しては、国際的にも重要なテーマであることから、今後も研究を継続する予定である。本年度は、オランダでカワウソを再導入する際に重要な役割を果たしたラトビア国の研究者と、今後の研究についての打ち合わせをおこなった。 過少利用の下では、野生動物の生息数が増加し、人間社会や生態系に多大な影響を及ぼすことが少なからずある。他方で、狩猟を抑制しつつも、人間社会と野生動物が共存してきた事例として、奈良県の奈良公園や、広島県の宮島がある。こうした事例にも課題はあるものの、世界的にみて非常に珍しい共存の事例であることから、本年度は、国際コンファレンスの基調講演の機会に、これらの事例を過少利用の文脈で試論的に紹介した。今後は、これらの事例が有する課題の研究と、過少利用問題解決の糸口として学べる点のさらなる精査を実施したい。
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