2012 Fiscal Year Research-status Report
ウズベキスタンにおけるコミュニティ社会の変容-ネットワークの動態分析
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23730267
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋渡 雅人 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (50547172)
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Keywords | 開発政策 / 社会ネットワーク / ウズベキスタン |
Research Abstract |
本研究の目的は,ウズベキスタンの農村地域のコミュニティ(マハッラ)を対象に,独自調査によって収集したネットワーク・データを用いて,コミュニティに内在する社会ネットワーク(互助関係,血縁関係,その他の社会関係)の構造や変化の動態を捉えることを通して,開発政策や社会変容に対する含意を得ることである.本年度は,既収集データを用いた分析を継続するとともに,9月に,ウズベキスタン・アンディジャン州オルティンクル市のマハッラにおいて現地調査を実施した. ネットワーク・データを用いた分析においては,本年度は特に,コミュニティ内の社会生活に与えるネットワーク効果を検証する作業を試みた.マハッラにおいて収集した家計調査データ及びネットワーク・データを用いて,親族ネットワークや慣習に基づくネットワークが,マハッラからの海外移民の送出やマハッラ内の私的な現金財貨のやりとりに与える効果(peer effect)について,空間自己回帰モデルを用いて検証した.予備的な分析からは,移民発生に関しては,親族ネットワークの効果は確認できなかったが,村落内の互助に関わる慣習ネットワークが与える正の効果を確認した.本分析は,近年の移民増加等によるコミュニティの変容過程に,既存の慣習ネットワークがどのように関与するのか明らかにするという点で意義がある.これらの論点に関しては,ネットワーク効果の種類(endogenous, contextual, correlated)について,より厳密な識別を試みたうえで,結果を論文としてまとめる予定である.現地調査においては,データ分析の結果を念頭に,移民送出や私的資源移転が発生した状況や動機についてより詳細なインタビュー調査を行った.また,タシケント市においては,大学の研究者や民間の研究所を訪問し,統計データの収集等を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施過程においては,①現地調査を通じた家計調査データ及びネットワーク・データの収集と,②収集したデータを用いた統計学的モデルの構築と推測統計学的分析,が二つ柱となる.本年度は,②については,ネットワーク効果という観点から,既収集データを用いた分析を進展させることができた.①については,本年度は9月下旬に現地調査を実施した.現地事情により,大規模な家計・ネットワーク・データの収集までは実施できなかったものの,質的調査を行うことで,背景情報を整理し,分析視角を明確にすることができた.また,現地の大学の研究者から,今後の調査に関する助言や意見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,現地調査に基づくデータ収集と入力,統計学的分析を継続する.本年度に試みた分析を通して,村落内の互助に関わる慣習ネットワーク等が社会生活に及ぼす効果について一定の含意は得られたが,ネットワーク効果の詳細な種類をより厳密に識別するという課題は残されている.また,ネットワークの構造に関する分析については,標本を村内の小地区等の分析可能なサイズに分割したうえで,Exponential Random Graph Models(ERGMs)を適用して検証する作業を続行する.さらに,新たな現地調査によってパネルデータを整備し,これまでの分析をパネル分析に拡張してゆくことが課題である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,本年度同様に,既収集データを用いた統計学的分析を継続する.ウズベキスタンにおける現地調査については,8月あるいは9月に実施する予定である.調査地は,アンディジャン州オルティンクル市に所在するマハッラを予定している.インタビュー調査に加えて,家計調査・ネットワーク調査を遂行したい.旅費は,主にこの現地調査のために用いる.また,本年度は,一部の購入予定の書籍(統計,現地語関連)が本年度中に入手できなかったため未使用額が生じたが,次年度には,繰り越した額を用いてこれらを購入する予定である.
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Research Products
(1 results)