2011 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
23730289
|
|---|
| Research Institution | Kyoto Sangyo University |
|---|
Principal Investigator |
寺井 晃 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (20387989)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
| Keywords | 経済政策 / 経済事情 / 経済理論 / 経済統計学 / 期待インフレ率 / マクロ経済学 / 選挙制度 |
|---|
| Research Abstract |
平成23年度は，期待インフレ率導出手法の開発のサーベイ，理論・実証研究を行った．また，この研究の派生として，選挙制度に関するシミュレーション分析を行った． 1点目として，サーベイ・データから得られる期待インフレ率に対する回答割合を分布に当てはめ，その分布を分解することで，どのようなクラスターに分けられるか要因分解する試みを行った．サーベイ・データの結果をクラスターに分類することで，同様の経済環境でも異なる回答選択肢を選ぶような経済主体の差異について，「分布している」ということで解釈を与え，新たな知見をもたらすものと考えられる．マイクロデータ的な考え方では，この差異は回答者の誤差項として処理されうるものである．こうした誤差項への新たな解釈をもたらしうるというのが，本研究のサーベイによって見出されたものであり，次年度以降の研究の進展に大きく貢献するものである．現在，この点について論文として執筆中であり，早い段階で学会報告，査読付き専門雑誌への投稿を予定している． 2点目として，本研究の派生として選挙制度分析を行った．選挙は，投票者の思い描く期待を意思表明する機会である．また，選挙結果は議席数の配分を通じて経済政策に大きな影響を及ぼす．そして，投票は候補者の名前に集約されるという点で，サーベイ・データの解釈の知見を大きく用いることができる．これらを念頭に，候補者の選好が選挙制度でどのような結果をもたらすのか，シミュレーション分析を行った．小選挙区制度では経験則として知られる「3乗法則」よりも議席数は偏り，比例代表制度は概ね有権者の選好を反映する議席数となる結果を得た．この成果は「選挙制度の分析」としてまとめ，京都産業大学論集社会科学系列に掲載された．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1点目として，東日本大震災により，前年度（平成22年度）の研究がずれ込んだため，平成23年度分の研究の開始がその分遅れたことが挙げられる．2点目として，東日本大震災を受けて科研費の交付が当初は内定額の支給を確約されておらず，減額や分割交付を念頭に置いたために経費の執行が遅れ，研究進捗が遅れたことが挙げられる．3点目として，予定していたPCの購入において，複数の業者への発注のいずれも完売というもので，同等製品も見込めず，進捗が遅れたという点が挙げられる．
|
| Strategy for Future Research Activity |
まずは，平成23年度の研究で生じた遅延について，当初の予定に追いつくように研究推進をする．平成23年度はデータ収集が当初の計画にあったが，収集の遅延について，諸研究機関への往来を行って回復を図る．また，予定通りに確保できなかった分析に必要なPCなど，物品の調達に努める． 次いで，当初の予定とした平成24年度の研究計画を推進する．平成24年度は，平成23年度の研究で得られた結果を念頭に置き，期待インフレ率のバイアスを説明する様々なモデルの検討を行う．1年目でのサーベイが有益であると期待され，経済学分野に問わない様々な仮説を適用する．この結果は常に実際のインフレのデータと照合され，統計的な検証がなされる．その作業にPCを用いた計算ソフトや統計ソフトの利用，計算機使用料は不可欠である．随時，モデルと実証結果を改訂し，従来の文献との違いの整理しながら論文を執筆，学会発表，レフェリー誌への投稿を積極的に行う．
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まずは，平成23年度に確保できなかったPCの確保．物品費として，データ分析のためのソフトウェア，図書など．旅費として，期待形成に関する論文のサーベイとデータ収集について諸研究機関への往来，学会発表など．謝金等として，論文の英文校閲，データ入力，研究補助など．その他として，計算機使用料，複写費，通信費など．
|
Research Products
(1 results)
