2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730289
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
寺井 晃 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (20387989)
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Keywords | 経済政策 / 経済事情 / 経済理論 / 経済統計学 / 期待インフレ率 / マクロ経済学 |
Research Abstract |
平成24年度は,期待インフレ率導出方法について,理論モデルの構築とデータへの当てはめ,実証研究を行った.また,この研究にかかわる先行研究のサーベイを行った. 昨年度までに,内閣府等の政府公表の期待インフレのデータの扱いについて,理論的・実証的な問題点と応用方法の研究成果を挙げているので,本年度はこれらの研究を進展させた.特に,期待インフレの分布を詳細に検討してきたが,歪度,尖度を考慮に入れない分布では重要な情報の見落としがあろうというのが一つの成果であった.ただ,この研究は期待インフレのアンケート結果を1つの分布で理解する場合に生じる問題である.本年度の研究は,この分布を複数の分布が混合して生じている「混合分布」として理解する手法を発展させたものである. 期待インフレの形成には,回答者の回答の偏りがあることが指摘されている.例えば,2012年9月で消費者物価上昇率は前年同期比-0.3%であるのに対し,内閣府『消費動向調査』では1年後の物価上昇率について「低下6.4%,変わらない23.3%,上昇62.3%」という回答結果であり,物価上昇期待への偏りが見て取れる.先行研究のサーベイでは,概ね,身近な商品の上昇の影響,切の良い数字で物価上昇を把握している,政府への物価上昇アピール,などが指摘されている. 特に,「切の良い数字での把握」について,本年度の研究は着目を行い,研究を発展させた.ある程度期待インフレをフレキシブルに考える回答層と,切の良い数字を中心に期待インフレを把握する回答層が混合していると考えるのである.これは,疫学における男女の病気発症の分布の違いや,特定の地域における生物の分布を品種によって把握する手法として知られている.本年度の研究はこれらを期待インフレ率に応用したものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規PCのOSが64bitであり(Windows 8),それまでの32bitソフトウェアが対応するか見定めるのにしばらく時間を必要としたため,当初計画よりも遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,平成24年度の研究にて生じた遅延について,当初の予定に追いつくように研究推進をする.平成24年度は様々なモデルの検討を行う計画であったが,確保したPCを効率的に利用することにより,遅れの回復を図る. 次いで,当初の予定としていた平成25年度の研究計画を推進する.平成25年度は平成24年度までの研究で得られた結果を参照しながら,随時モデルとデータの改定を行って論文を執筆することが計画されていた.論文執筆を行うことで研究成果を取りまとめ,学会発表,レフェリー誌への投稿を積極的に行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まずは,平成24年度に発生した遅延の回復を図る.使用計画としては,設備備品費として,データ分析のソフトウェア・PCなどを適切に確保する.これは,遅延が主にPCのOS更新関連に由来するものであったため,更新から時間が経過し見通しの立つ状況下で遅延回復を図るものである. 平成25年度は,以下の使用計画である,設備備品費として,関連書籍の確保やソフトウェアの確保などに使用する.消耗品費として,文具・印刷用紙などに使用する.旅費として,期待形成に関する論文のサーベイとデータ収集について諸研究機関への往来,学会発表などに使用する.謝金等として,論文の英文校閲,データ入力,研究補助などに使用する.その他として,計算機使用料,複写費,通信費などに使用する.
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