2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730412
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秋川 卓也 日本大学, 商学部, 講師 (80367515)
|
Keywords | 返品 / SCM / サプライチェーン / 商慣行 / 需要管理 |
Research Abstract |
当年度は前年度に引き続き、返品に関する実態とSCMに関連する実務内容を把握するための事例調査を行った。その結果として、食料品のような最寄品業界において、SCMが返品の削減に貢献する可能性を見出すに至った。SCMにおいては部門間や企業間における情報共有や計画統合が一般的な方法論であるが、最寄品業界においてはそのような方法論(特に企業間)が通用しない条件下にあること多い。こうした一般的な方法論は経営環境に対して柔軟性を発揮して、受動的に適応していく方法であるが、昨今の経営環境においては変化幅が大きく、受動的な対応だけでは大きな成果が出ない状況となっている。 事例調査から、受動的な方法だけでなく、環境に働きかけてサプライチェーンにプラスになる方向に需要をコントロールする「需要管理」の重要性を見出すことができた。需要管理によって、能動的に需給を均衡化させることで返品の発生要因を抑制するという方法である。SCM領域において需要管理という視点から再度の文献調査を行ったが、既存研究は少なく、ほぼ未開拓の領域であることを確認することができた。よって、新たに概念規定を、既存研究との関係の中で開始する必要性が生じたが、当年度には終了させることはできなかった。その結果、概念規定に基づいた仮説の設定、さらにはその仮説の実証は来年度に繰り越すこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により、初年度のヒアリング調査の始動が遅れたために、全体の計画がやや遅れる結果となった。調査対象としていた日用雑貨品や食料品の製造企業は震災への対応(被災からの回復や緊急物資の提供活動)のため、ヒアリング調査に応じられない期間が1年程度続いた。アンケートで検証する仮説モデルの形成は、事例調査抜きでは不可能である。その結果、本来ならば当年度においてアンケート調査を行う予定であったが、遅れを取り戻すことに至らず、アンケート設計を完了することができなかった。慎重を期すために、アンケート調査の実施を来年度に繰り延べることを決定させていただいた次第である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、アンケート調査を実施し、仮説モデルを検証を行うことを目的とする。すでに、仮説モデルの案出とそれに基づくアンケート設計に着手している。実施前には研究者と実務家から事前のレビューをいただく予定である。アンケートの対象は製造企業の担当者を考えているが、アンケートの実施については代行業者に委託する予定である。また、その結果を学会にて報告することを考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東日本大震災により、初年度の調査の始動が遅れ、全体の計画が遅れる結果となった。調査対象としていた製造企業は震災への対応(被災からの回復や緊急物資の提供活動)のため、ヒアリング調査に応じられない期間が1年程度続いた。アンケートで検証する仮説モデルの形成は、実務に対する経験的な知見なしでは不可能である。本来ならば当年度においてアンケート調査を行う予定であったが、遅れを取り戻すことに至らず、アンケート設計を完了することができなかった。慎重を期すために、アンケート調査の実施を来年度に繰り延べることを決定させていただいた次第である。 平成26年度においては、アンケート調査を実施するために、アンケート代行業者に対する委託費用が必要になる。また、アンケートの事前レビューを研究者と実務家にお願いする予定もあるので、それに必要な謝礼と出張費で研究費を使用する予定がある。
|