2012 Fiscal Year Research-status Report
医療機関の予算を中軸とした管理会計システムと組織間連携に関する研究
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23730430
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
衣笠 陽子 滋賀大学, 経済学部, 講師 (40539160)
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Keywords | 医療管理会計 / 予算管理システム / アカウンタビリティ / プロフェッショナル / 会計コミュニケーション |
Research Abstract |
医療機関における総合的なシステムとしての管理会計の機能について研究を行っている。管理会計研究は営利企業を対象として生成・発展してきたが、そのような管理会計を非営利の医療機関にそのままあてはめるのではなく、医療機関独自の管理会計のしくみの存在の模索および構築を目的としている。診療報酬の支払い方法の変更や点数配分などの医療費抑制策を受け、医療機関における経営という意識が高まってきている。このような背景のもと、医療機関における「経営」の模索が行われている。また民間団体の資格だが、医療経営士という資格も新しく登場し、医療経営士のための書籍も多数発刊されるようになったが、そこでも管理会計について「技法」の注目が高く「しくみ」としての管理会計システムの認識度は低い。当該年度は、「しくみ」すなわちシステムとしての医療管理会計について、その機能と推測できる効果、また医療機関における注意すべき医療機関独自の要因についてまとめ、著書を執筆した。組織におけるプロフェッショナルの存在と、その自律性に注目し、アカウンタビリティの変容について指摘した上で、効果的な予算管理システムの在り方について明らかにした。このことは、医療機関のみならず、製造業における研究開発部門の管理会計システムにも共通すると考えられる。著書については中央経済社より2013年6月発刊の予定である(衣笠陽子『医療管理会計』中央経済社、2013年6月)。本書は研究書であるが、テキスト的な著作をまとめることができたと考えている。 また、2012年5月刊行の管理会計学の掲載された下記論文は、2012年8月に、2012年度管理会計学会・学会賞を受賞した。 衣笠陽子「病院経営における管理会計の機能ー病院予算を中軸とした総合管理ー」『管理会計学』(日本管理会計学会誌)第20巻第2号、2012年5月、3-18ページ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書籍にてケーススタディのひな形をまとめることができた。また、まだ試み段階ではあるが、現時点での医療管理会計の構築の足掛かりをつくることができたと考えている。また、海外交流について、3年に一度、アジア太平洋地域で開催される大規模な会計の国際学会である、APIRA(Asia Pasific Interdisciplinary Perspective in Accounting)での学会報告を行うことを2013年2月に申込み、受理された。当該報告は2013年7月に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
APIRAをはじめ、NZMA(New Zealand Management Accounting)の学会でも学会報告を行うことを予定している。アカウンタビリティの変容とその可能性についての、最初の指摘を行ったともいえるJohn Roberts教授との研究交流ができればと考えている。また、研究方法についても体系的なケーススタディの実施について、実践的・理論的にまとめる必要性が生じてきた。次年度以降は、研究方法論についてもまとめたい。また、先にまとめた著書もベースとして、ケースススタディを個別病院および複合体において行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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