2013 Fiscal Year Annual Research Report
会計利益と課税所得の一致の程度と価値関連性に関する研究
Project/Area Number |
23730441
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村上 裕太郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 准教授 (30434591)
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Keywords | 税務会計 / 価値関連性 / 比較制度分析 |
Research Abstract |
平成25年度は、派生論文である「Voluntary Disclosure and Value Relevance of Segment Information」を執筆し、ヨーロッパ会計学会(パリ)、アジア会計学会(ペナン)、およびアジア太平洋会計学会(バリ)に投稿し、受理され、学会報告をした。さらに、平成24年度まで執筆していた投稿準備の論文をブラッシュアップした。 研究期間を全体を通じて、毎年コンスタントに論文を執筆し、1年あたり国際学会にて3~5回の論文報告ができたことについては予定通りだったといえる。また、3年間で5本の論文が執筆できたことについても、おおむね満足している。具体的に、主要論文から得られた結論は、次のようなものであった。第1に、会計利益と課税所得の一致の程度が強い国(コンフォーミティ)の場合、報告利益の価値関連性は税務調査確率に関して増加的、一方、一致の程度が弱い国(デカップリング)の場合、価値関連性は税務調査確率に関して減少的であった。第2に、操作前利益の不確実性が大きい場合、または、経営者のタイプの不確実性が小さい場合において、コンフォーミティの価値関連性はデカップリングよりも高くなる可能性があった。これらの結論は、今後アーカイバル・データによる検証をする際に、重要な実証仮説となるだろう。 研究期間を通じて反省すべき点は、研究成果として国内学術誌への論文掲載はできたものの、目標としていた海外学術誌への論文掲載ができなかったことである。もちろん、海外学術誌の査読プロセスは、一般的に時間がかかるため、研究期間終了後も投稿を継続していくつもりである。
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