2012 Fiscal Year Research-status Report
支配株主が会計数値の特性に与える影響に関する実証研究
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23730448
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
青木 康晴 成城大学, 経済学部, 准教授 (50553137)
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Keywords | 支配株主 / 最大株主 / 少数株主 / コーポレートガバナンス / 配当政策 / ペイアウト / 保守主義 / 利益の質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、支配株主の存在がペイアウトや会計数値の特性に与える影響を実証的に検証することである。平成24年度は、平成23年度に執筆した「支配株主と利益情報の有用性」を『企業会計研究のダイナミズム』の1章として公表した。さらに、以下2本の論文を英語で執筆し、国内学会で報告を行った。 1.How Does the Largest Shareholder Affect Dividends?(旧題:Controlling Shareholders and Dividends: Evidence from Japan)。これは、最大株主が配当に与える影響について、コーポレートガバナンスの観点から分析した研究である。分析の結果、企業が支払う配当の水準、および最大株主持株比率と配当の関係は、最大株主が経営者か否かによって異なることが示唆された。本研究については、2012年5月に一橋大学で開催された、日本ファイナンス学会の全国大会で報告を行った。 2.Corporate Shareholders and Accounting Conservatism: Evidence from Japan(旧題:Controlling Shareholders and Earnings Quality: Evidence from Japan)。これは、最大株主企業と被所有企業が両方とも上場している状況に注目し、最大株主と会計上の保守主義の関係について分析した研究である。分析の結果、最大株主持株比率が高い企業ほど、保守的でない会計利益を報告していることが示唆された。また、最大株主が役員を派遣している企業、相対的に規模が大きい企業ほど、持株比率と保守主義の間の負の関係が強いことも示唆された。本研究については、2012年8月に一橋大学で開催された、日本会計研究学会の全国大会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学会で報告するという観点からは遅れているものの、2本の論文を英語で執筆し、それぞれ国内学会で報告することができた。討論者やオーディエンスからもらったコメントを受けて論文を修正し、研究の質を高めることができたと実感している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成25年度は、平成24年度に執筆した2本の論文を海外の査読付ジャーナルに投稿し、アクセプトされることを目指す。具体的な計画は以下の通りである。 1.How Does the Largest Shareholder Affect Dividends?については、2013年7月に東京で開催されるInternational Review of Finance誌のカンファレンス“Japanese Financial Markets: Corporate Finance, Institutions, and Investments”での報告に応募したが、残念ながらリジェクトされた。しかし、同誌のエディターによると、カンファレンスの特集号に論文が掲載される可能性は残っているようなので、そちらに改めて投稿する予定である。 2.Corporate Shareholders and Accounting Conservatism: Evidence from Japanについては、2013年8月に米国で開催されるAmerican Accounting Association Annual Meetingでの報告に応募したが、残念ながらリジェクトされた。めぼしい国際学会があればそちらでの報告に応募する可能性もあるが、最終年度ということもあり、できるだけ早く査読付ジャーナルに投稿したいと考えている(Journal of International Accounting Research誌など)。 上記のほか、機会があれば、国内研究機関の開催する研究セミナーやワークショップでも積極的に成果発表を行う予定である。また、余裕があれば、支配株主と役員報酬の関係についても実証分析を実施したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予想よりも論文の分量が多くなったため、平成25年度の研究費の多くを、英語論文の校正費用に使用したいと考えている(約30万円)。さらに、会計学およびコーポレートガバナンス関連書籍(約20万円)、PC関連消耗品(約10万円)、海外ジャーナルへの論文投稿費(約5万円)に使用する。残額は、国内外の学会参加費や出張費である。論文の査読結果にもよるが、ジャーナルへの掲載を最優先に考えた研究費の配分をする予定である。
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Research Products
(3 results)