2013 Fiscal Year Research-status Report
市民参加に対するイメージと参加行動-国際比較調査による検討-
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23730466
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 英弘 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20431661)
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Keywords | 社会運動 / 政治参加 / デモ / 参加イメージ / 政治意識 / 国際比較 / 日本・韓国・ドイツ |
Research Abstract |
本年度は、社会運動や政治参加に対するイメージと参加意志に関する質問紙調査を韓国とドイツにて行った(サンプルサイズ500、インターネット調査)。前年度に実施した日本調査と併せて、当初の計画通り日本、東アジア1ヶ国、欧米1ヶ国の3ヶ国における国際比較分析が可能なデータセットが整備された。 現在までの分析では、以下のことが明らかとなった。社会運動の代表性、効果、秩序不安に対する態度をもとに回答者を類型化すると、(1)運動肯定・秩序非不安群、(2)運動肯定・秩序不安群、(3)運動否定群、(4)態度留保群が析出された。これらのうち、ドイツでは相対的に(1)が多いのに対して、韓国では(1)と(2)が多く、日本では(3)(4)が多い。そして、これらの運動に対する態度が署名、陳情、デモ、暴力といった抗議行動への自分自身の参加意志と社会的な参加許容度(規範意識)と関連している。つまり、日本では社会運動に否定的な態度をもつ人々が多く、そのために参加意志や参加許容度が低い人々が多いのである。これに加えて、日本では他国と比べて、社会運動を社会的には許容するものの、自分自身は参加しないという態度の乖離を示す人々が多い。 このように、当初の仮説通り、3ヶ国間で社会運動に対するイメージが異なり、そのために参加意志および一般的な参加許容度が異なることが示された。しかしながら、3ヶ国間におけるイメージの相違がどのような要因によって生じるのか、また、日本で特にみられる個人の参加意志と社会的許容度の乖離をどのように説明するかは、次年度に残された課題である。以上の課題を解決することにより、各国における政治参加観が明確になり、ひいては社会運動の活発さの相違を解明することにつながっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定通り、韓国とドイツの調査を実施することができた。これにより、当初の計画通り、国際比較分析を行う準備ができた。業績については、目立ったものはないものの分析は着実に進んでおり、次年度に公開する準備が進行している。したがって、おおむね順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに計画していた調査をすべて終えたため、次年度は結果の公表に専念する。すでにInternational Sociological Association、日本政治学会での報告はアクセプトされている。この他にも、学会報告、学会誌への投稿を積極的に行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、韓国とドイツにおける質問紙調査の遂行に集中した。研究成果の公開は次年度が中心となるため、予定していた費用の一部を次年度に充てることとした。 次年度は、主に研究成果の公開に向けて助成金を使用していく。学会出張等の旅費、投稿、報告書作成、出版に関する諸経費などを中心に支出していく予定である。
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Research Products
(1 results)