2014 Fiscal Year Research-status Report
市民参加に対するイメージと参加行動-国際比較調査による検討-
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23730466
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 英弘 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20431661)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 社会運動 / 政治参加 / デモ / 参加イメージ / 政治意識 / 国際比較 / 日本・韓国・ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに実施した日本、韓国、ドイツにおける質問調査に基づき、一般の人々の社会運動や政治参加に対するイメージと抗議活動への参加許容度との関連についての国際比較分析を行った。 主な知見は次のとおりである。(1)参加許容度については、ドイツにおいては抗議活動参加に対して肯定的な人々が多いのに対して、日本と韓国ではあまり多くはない。(2)運動に対する態度については、ドイツ、韓国、日本の順に、運動による世論の代表性とアピール手段としての有効性に対する評価が高い。また、日本と韓国では、運動による秩序不安を抱く人々が一定程度みられる。(3)運動に対する態度と参加許容度との関連については、運動自体の有効性の評価が最も強く参加許容度と関連している。3か国とも、運動が有効な手段だと考える人々ほど、社会的にも個人的にも参加を許容する。しかし、個人が参加することによる有効性については、参加許容度を高めない。秩序不安性についても、参加許容度との関連がみられない。(4)運動の代表性については、各国で異なる関連がみられる。韓国とドイツでは、運動が世論を代表すると考えるほど参加が社会的に許容される。これに対して、日本においては、運動が世論を代表すると考えるほど参加が社会的に許容されないというパラドキシカルな関連がみられる。 以上の結果から、日本では、運動の有効性や代表性に対する評価が低いために、参加許容度が低いと考えられる。さらに、人々の意見を代表しているにもかかわらず、運動参加が認められない。日本では政治に対する不満が高く、選挙による政治参加では不十分だという意見が多いにもかかわらず、社会運動という非制度的手段にも可能性を見いだせないといいう政治参加の閉塞状況をみてとることができる。 以上の研究成果について、世界社会学会議横浜大会、数理社会学会、日本政治学会での学会発表等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定通り、質問紙調査データの分析を行い、日本、韓国、ドイツにおける政治参加に対するイメージと参加許容度(特に抗議活動参加)との関連を検討した。その成果について、学会発表等を行った。 ただし、国際的ジャーナルへの論文投稿が年度内に完了できなかったため、その点についてやや遅れていると評価する。もっとも、これについては来年度早々に行う準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的はおおむね達成しているが、研究成果の公表の一部がなされていない。次年度の早い時期に、最も主要な研究成果について国際的ジャーナルへの投稿を行う。さらに、他の研究成果についても学会発表や論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
最も主要な研究成果を国際的ジャーナルへ投稿すべく準備を進めてきた。しかし、論文の完成度を上げるためには、年度内という期限を多少超えて取り組む必要が生じた。また、調査から得られた知見として、まだ十分に公開できていないものも残される。これらに要する投稿論文の英文校閲費ならびに学会発表のための出張旅費が次年度使用額として残された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外のジャーナルへ投稿するための英文校閲費、投稿料、本研究課題から生じたその他の研究成果を学会報告するための旅費、関連する消耗品購入費として使用する。これらについては、次年度のなるべく早い時期に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)