2014 Fiscal Year Annual Research Report
都市公共財の維持に対する正当性認識に基づくコミュニティ・ガバナンスの成立条件
Project/Area Number |
23730474
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
堂免 隆浩 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (80397059)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 地域公共財 / コミュニティ・ガバナンス / 正当性認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、正当性認識に着目し、都市公共財の維持にかかわるコミュニティ・ガバナンスの成立条件を明らかにすることにある。本研究では、都市計画法における「地区計画」を対象とした。地区計画には、建築行為に対する制限、および、都市施設の整備が含まれている。最終年度である平成26年度は、都市施設である公園および建築行為の制限に対する住民による管理運営の実現が、正当性認識とのどのような関連を持つかについて総括的な考察を行った。 平成24年度および平成25年度に実施したインタビュー調査結果を、グラウンデッド・セオリー・アプローチ理論に基づき、会話データのラベル化、カテゴリ化、そして、構造化を行い、住民による都市公共財の管理への関与と正当性認識に関連する要因を考察した。 まず、都市公共財として想定した「景観」と「公園」では、住民により管理運営対象のとらえ方に差があった。前者は、建築物を制限する「ルール」の運営と捉えるのに対し、後者は、公園そのもの、つまり「財産」の管理と捉えていた。住民が自ら管理運営を実施できると感じる「正当性認識」について、景観および公園に共通する根拠は「所有意識要因」と考えられる。景観を管理しているD地区では、住民自らがルールを制定した経緯から、建築制限が行政事務であるにもかかわらず、住民自ら違反建築の監視を行っていた。公園を管理しているM公園では、整備前から住民が敷地を利用していた経緯から、整備後も住民が公園を利用管理するに至った。一方、M公園のみで確認できた根拠として「団体承認要因」を挙げることができる。M公園を管理しているグループは、管理団体として条例に基づく承認を得たことで、管理運営を実施しやすくなっていることを確認した。
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Research Products
(2 results)