2011 Fiscal Year Research-status Report
病者・障害者における当事者運動組織のネットワーク形成と「国際化」に関する研究
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23730478
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 克典 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (60509181)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 当事者運動 / 組織間ネットワーク / 病者 / 障害者 / 国際化 |
Research Abstract |
病者・障害者による当事者運動の全体像をとらえることを目的として、イベント分析をすすめた。成果については、論文投稿の他、国内・国外で積極的に報告をおこなった。国内での成果報告:2011年度における成果として、英語論文(共著)"Theoretical Possibility of Social Movement"(2011年6月)、学会でのシンポジウム基調報告「愛知の/から障害者運動を考える」(2011年10月)のほか、国内でのワークショップ開催「愛知県の「ろう者」の歴史」(2011年8月)、「施設/社会――少年院と障害者労働から考える」(2012年3月)のほか、学会、研究会等での報告を複数おこなった。国際的な成果報告:韓国での国際学会ポスター報告(共同)「中部圏の障害者運動――1960年代から1980年代のゆたか福祉会、わっぱの会、AJUを中心に」、口頭報告(単独)「言語障害者の当事者運動――吃音者「言友会」の歴史と現在」(2011年7月)、京都で開催された国際セミナーでのポスター報告(単独)「吃音の社会文化的研究とその影響」(2011年11月)のほか、韓国における障害者運動の歴史や今後の研究に関する資料収集をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、戦後の病者・障害者による当事者運動組織の全体像をとらえるための基礎資料の収集を中心的におこなった。とくに、これらの資料収集と並行して当事者団体に関するワークショップ(2011年8月に「ろう者」に関するワークショップ)を開催し、学会大会シンポジウム(2011年10月に愛知県の障害者団体に関するシンポジウム)で基調報告をおこなうなど、成果にも結びつけることができた。以上のように、当初の計画である資料収集と新聞記事データベースを用いたイベント分析はある程度達成されていると思われる。ただし、2011年3月11日に未曾有の被害をもたらした東日本大震災が起こり、そのなかで当事者運動組織の活動もみられ、当事者運動組織による支援活動など優先されるべき喫緊の変化との調整も必要となり、当初の計画を完全に達成することはできなかった。以上の2点より、総合的な判断として「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に資料収集を継続する。とくに、代表的な協議会・連合(国際障害者連盟、障害者インターナショナル、日本難病・疾病団体協議会など)について、所属する団体と所属時期、さらに協議会・連合における地位関係(役員への参与、会合への参加)などについてデータを収集する。また、上記の資料、イベント分析の分析結果を用いて、ネットワーク分析をおこなう。まず、国内の団体組織間ネットワークに関する中心性と集中度と実際の活動内容との関係を分析する。とくに重要となるのは、協議会・連合の設立とその影響に関する分析である。次に、国際的な組織ネットワークへの参与とその影響に関する分析をおこなう。ここでは、国際的なネットワークへの参与がもたらした政策提言に関する活動への影響について分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したように、2011年度は東日本大震災が起きたことから、関東地方への調査を計画通りにおこなうことができなかった。このため、2011年度の残額についてはおもに旅費に組み込んで使用する。その他については、当初の計画通りに使用する予定である。第1に、資料収集のために設備備品費を使用する。所属機関には一般図書はある程度所蔵しているが、各運動団体が個別に販売している書籍などは所蔵していないため、購入が必要である。また、販売してない資料もあるため、コピーや資料整理の作業も必要となる。第2に、資料収集、インタビュー調査などにおいて東京・大阪などへの旅費を用いる。第3に、イベント分析補助における人件費やワークショップやシンポジウムの開催(2011年7月に開催予定)時に謝金等を使用する。第4に、研究成果報告などを「その他」として使用する。
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Research Products
(11 results)