2012 Fiscal Year Research-status Report
受忍と犠牲――戦後補償制度と戦死者追悼における国民創出の制度と文法
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23730482
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
直野 章子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10404013)
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Keywords | 死者慰霊 / 戦後補償 / ナショナリズム / 国家 |
Research Abstract |
本研究は「受忍」と「犠牲」という概念に着目しながら、戦後補償法制度の成立と変遷、および戦死者追悼における〈国民創出の制度と文法〉を描き出すことを目的としている。本年度は、①昨年度に収集した「広島県動員学徒等犠牲者の会」の関連資料のうち、会報の欠号分を所在調査のうえ一部収集し、昨年度に聞き取り調査を行った初代会長と長年の理事に対して聞き取り調査を行い、②昨年度に引き続き、日本被団協や靖国神社、戦死者追悼とナショナリズムに関する資料や先行研究文献の収集を行い、③大学院のセミナーにおいて国家とナショナリズムに関する理論群を講読し、④「広島県動員学徒等犠牲者の会」を事例として、戦後日本における「慰霊」「追悼」と「国民創出」との関係やナショナリズムと死者慰霊との関係について、国際日本文化研究センターの共同研究会(「日本文化形成と戦争の記憶」)において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年12月より平成25年3月まで産前産後休業を取得したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、戦死者追悼の部分について、靖国神社を中心にしながら、資料収集および先行研究の分析を行う。資料収集に関しては、「広島県動員学徒等犠牲者の会」の関連資料や関係者に対する聞き取り調査を引き続き行うとともに、靖国神社と日本被団協関連の資料収集と分析も行う予定である。戦後補償制度については、不足する資料を補う程度の調査を行う予定である。さらに、今年度までに収集した資料と先行研究を踏まえて、戦後補償制度と戦死者追悼における国民創出の制度と文法の関係について総合的な分析を行い、学術的に発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度においては、①「広島県動員学徒等犠牲者の会」の関連資料収集の補足的調査や関係者に対する聞き取り調査を行うための旅費、印刷費用、②日本被団協の死者追悼や靖国神社、戦死者追悼に関する資料および先行研究文献の収集、③ナショナリズム論、国家論、死者慰霊や記憶論の文献収集、④学会や研究会における成果発表のための旅費、に主に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)