2012 Fiscal Year Research-status Report
英国移民政策と在英ブラジル人の生活戦略の基礎的調査研究
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23730496
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
YAMAGUCHI A・E 上智大学, 外国語学部, 助教 (60453601)
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Keywords | 在英ブラジル人 / 越境ブラジル人 / 国際労働力移動 / 移民政策 / 在日ブラジル人 |
Research Abstract |
・在日ブラジル人とは異なり、在英ブラジル人の大多数は非正規労働者である。そのため、社会的適応への支援や精神的な支柱として大きな存在となっている宗教組織の役割が大きいという仮説を立てた。2012年度は、エスニック・マイノリティと移民支援団体および宗教組織のインタビューが目的であった。主なインタビュー調査対象団体は、在英ブラジル人を支えている「Casa do Brasil」というONG団体の理事長へのイン0タビュー、カトリック教会の神父や関係者、Brazilian Migration to the UK Research Group- University of Londonのメンバーである。宗教団体が果たす役割及び社会的適応への支援は、研究当初に考えたほど大きくはないことが明らかになった。それは、彼らは不規則な労働時間に対応し、かつサービス業に従事しているため、積極的な宗教活動が困難なためであった。 ・在英ブラジル人コミュニティの大部分がサービス業に従事して、また社会的地位も下層部に位置する。ホスト社会における社会的地位に関しては、在日ブラジル人と同等である。しかし、彼らが英国社会で従事する産業はサービス業であり、それがゆえに様々な社会階層に属する人と接する機会があり、それを介して英語力が上達する。それが彼らの社会上昇志向を促進するメカニズムにもつながり、実行する可能性にも転じていることがわかった。つまり、言語は彼ら/彼女らにとって働くために必要な「道具」であると同時に、英語を取得するとブラジルでもロンドンでも就職への機会につながることがわかった。また日本語と違って、英語は同じアルファベットを共有するブラジル人にとって習得しやすく、さらにブラジル人にとって英語という言語そのものがもたらす付加価値にも原因があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね計画通りであるが、24年度と25年度に実施する予定の調査内容を逆にした。その理由は、①ブラジル人の支援団体や宗教組織をまず調査し、ネットワーク作りをしてからブラジル人の調査実施がスムーズに行くと判断したからである。それは、在英ブラジル人の多くは非正規滞在者のため、調査に応じにくい状況にあるからである。 それに②24年に実施予定の調査内容(エスニック・ビジネスの統計と居住の地理的分布)は23年度に行うことが可能となった
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Strategy for Future Research Activity |
・質的調査を継続する。特に、ロンドンに長く滞在し、社会的に上昇したブラジル人を対象にする。 ・プロテスタント系の宗教団体の牧師にインタビュー調査。 ・時系列調査が可能のため、23年度に面接調査を行ったブラジル人の調査を行う予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、おおむね計画通りであるが、24年度と25年度に実施する予定の調査内容を逆にした。その理由は、①ブラジル人の支援団体や宗教組織をまず調査し、ネットワーク作りをしてからブラジル人の調査実施がスムーズに行くと判断したからである。それは、在英ブラジル人の多くは非正規滞在者のため、調査に応じにくい状況にあるからである。 それに②24年に実施予定の調査内容(エスニック・ビジネスの統計と居住の地理的分布)は23年度に行うことが可能となった
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Research Products
(1 results)