2012 Fiscal Year Research-status Report
ポピュリズム型住民運動にみる地域民主主義の新展開--河村名古屋市政の実証研究
Project/Area Number |
23730499
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松谷 満 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (30398028)
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Keywords | 社会学 / ポピュリズム / 地方政治 / 地域政党 / 河村たかし / 橋下徹 / 民主主義 / 住民運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、名古屋における「ポピュリズム型」住民運動および市政を対象とし、(1)なぜ運動および市長は支持を集めることができたのか、(2)この政治現象をどう位置づけるべきか、という問いを明らかにすることにあった。本年度は前年度に実施した質問紙調査の分析を主に行った。とくに、比較のために実施した大阪での調査ともあわせ、多くの基礎的な知見を得ることができた。 具体的には、学会報告および論文において、名古屋(河村)と東京(石原)、大阪(橋下)という3つの地域、首長に対する支持のあり方の分析を行った。既存の議論においては、若年層とくに経済的な弱者が社会の変化を求めて支持をしている、不安や不満をあおるだけの中身のない扇情的な言動に大衆がひかれている、といったことがいわれていた。しかし、本研究の分析において、(1)支持層はむしろ階層的には上に位置する人々が中心であること、(2)不安や不満といったものは数ある要因の一つにしかすぎないこと、(3)政治不信よりむしろ公務員不信が共通すること、(4)決断できるリーダーへの依存が共通してみられること、を明らかにした。くわえて東京と大阪の類似性、名古屋の独自の特徴も明らかとなった。 このような本研究の知見は一定程度の注目を集め、新聞雑誌や講演会などで研究成果の一部を紹介する機会も多く得ることができた。本研究の意義や重要性がアカデミズム外においても広く認知された結果とみることができよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した関係者インタビューは滞っているが、一方で、質問紙調査分析では多くの注目される知見を導出しており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、質問紙調査のデータについて、自由回答データも含めて全体を分析する。 第二に、関係者に対するインタビューを本格的に実施し、本研究に資するデータの収集に努める。 そううえで、まとまった成果をできるだけすみやかに発表していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質問紙調査をもとにした論文への反響が大きく、追加で論文執筆および報告の準備に時間を割くこととなった。また、国政選挙等の流動的な状況もあり、政党・議員にインタビューを実施することがかなわなかった。くわえて、データ整備を依頼していた学生の事情により、当該作業がやや遅れ気味となった。上記の理由から研究費残額が生じたため、次年度以下の経費に使用したい。関係者に対するインタビュー(名古屋、大阪、東京)および学会報告、関連する研究者との意見交換などのために旅費を使用する。また、質問紙調査のデータ整備や資料の収集といった作業用の謝金として使用する。
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Research Products
(6 results)