2011 Fiscal Year Research-status Report
在日朝鮮人学生団体に見る「祖国」意識――1960~70年代を中心に
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23730504
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 友子 立命館大学, 産業社会学部, 講師 (20516421)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / ナショナリズム / アイデンティティ / 在日コリアン / 祖国 / 学生運動 / エスニシティ |
Research Abstract |
本研究は、日本に居住する在日朝鮮人の「祖国」志向的な思想と行動を歴史的観点から考察することを目的とし、具体的には1960年代から70年代の「在日韓国学生同盟」という学生団体を研究対象としている。研究初年度である今年度は、資料の収集を主に行った。まず4月から9月までは判明している資料保管場所として、現在も活動している同団体の京都および兵庫の事務所に所蔵されている資料を貸与してもらった。また、3月には同団体のOB・OGが集まる会合に出席し、資料を提供してもらうとともに、聞き取り調査の協力を要請し、承諾を得た。さらに韓国の関連団体・機関を訪問し、資料の有無を確認した。結果、在外同胞財団資料室には民団(調査対象団体の上部団体)関連資料が数点あることが確認できた。また、外交史料館を訪問し、70年代後半の関連史料を閲覧・複写した。収集した資料については、現在、複写・電子データ化している最中である。同時並行して資料紹介ないし解題の形で関連研究会で発表することを予定していたが、整理・精読に集中したため、今年度は発表を見送った。本研究の理論的背景となる移民とアイデンティティに関して世界女性学大会(オタワ、7月)で発表する予定となっていたが、これに関してはポスター発表を行った。総じて、偏りはあると言えるが、当時の活動状況および組織の全体像を明らかにしていくための資料を収集できたこと、また学生たちの手記から、「祖国」なるものの実感の強弱がどのように形成されていったのかを分析する材料を、一定程度そろえることができたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べたとおり、今年度は資料収集に集中した。予定していた資料のほとんどは入手することができたが、他方で、その整理・読みこみに時間がかかったため、研究を発表することができなかった。この原因としては、資料の複写・整理のための人員との日程調整等がうまくいかず、仕事を任せられなかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、入手済みの資料については、精読・分析を完了し、日本社会学会、解放社会学会、国際高麗学会、在日朝鮮人史研究会、コリアンマイノリティ研究会など国内外の学会で発表し、成果をまとめて論文化・投稿する。また、前年に引き続き資料の収集とともに聞き取り調査を推進する。資料整理については研究補助人員を雇い、早急に処理していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助・資料整理の人員との日程調整がうまくいかなかったため、その分の人件費がH23年度の未使用額として生じたが、今年度行う予定の研究計画と併せて実施する。前年に引き続き資料の収集とともに(調査旅行費、文具費)、随時その整理(研究補助・資料整理)を行う。また、関係者への聞き取り調査を補完的に行っていく(調査旅行費)。当時の社会・経済・文化的状況の中に位置づけていく作業を始める(文献研究、書籍費)。「祖国の歴史に参与する主体」が、国外(日本)でどのように形成され、どのような理念に基づいて活動をしていたのかを、より具体的に明らかにしていく。以上の研究成果を、国内外の学会で発表し、学会誌に投稿する。(成果発表)
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Research Products
(1 results)