2013 Fiscal Year Research-status Report
在日朝鮮人学生団体に見る「祖国」意識――1960~70年代を中心に
Project/Area Number |
23730504
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 友子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (20516421)
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Keywords | 国際情報交換 / 韓国 / ナショナリズム / アイデンティティ / 祖国 / 在日コリアン / 学生運動 / エスニシティ |
Research Abstract |
本研究は、日本に居住する在日朝鮮人の「祖国」に向かう思想と行動を歴史的観点から考察することを目的としている。具体的には、1960年代から70年代に在日韓国人学生たちが活動していた「在日韓国学生同盟」という学生団体を研究対象としている。 研究最終年度に当たる今年度は、収集した資料を整理・データ化し、それらを分析し発表していった。また平行して当事者への聞き取り調査をおこなった。まず、資料の収集・整理・データ化について述べる。前年度までに収集した資料に加えて、新たに比較的多量の資料を入手することができた。これらの電子データ化は8割ほど終了した。また、研究の過程で当初は補完的な位置付けだった聞き取り調査の重要性が増したため、数件の聞き取り調査を行った。 以上をまとめて、解放社会学会、韓国言語・文学・文化国際学術大会で発表した。解放社会学会では研究対象団体の実態と「祖国」意識の表出のされ方について検討した。韓国言語・文学・文化国際学術大会では、ナショナリズム論を参照しつつ、対象団体の「祖国」志向は既存のナショナリズム論の枠組みでは捉えきれないことを指摘した。 研究の理論的背景となる移民とアイデンティティおよびナショナリズムとの関連に関しては、引き続き文献を読み込み中である。 論文化して公表する作業がまだ残っているが、聞き取り調査を継続しつつ、順次発表していく準備は整っているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の課題としていた資料の発掘・収集はほぼ終えたと言えるが、集めた資料のデジタル・アーカイブ化はまだ8割ほどである。 エスニシティ論、アイデンティティ論およびナショナリズム論などの理論蓄積を参照しつつ、彼ら・彼女らのアイデンティティ形成を分析していく作業については、近年の研究動向なども取り入れ、当初計画していたよりも聞き取り調査に力を入れることになった。そのため、インタビューに応じてくれる関係者探し、日程調整などに苦慮した。 成果発表は、口頭発表は行ったが、その論文化がまだなされていない状態である。これは資料の電子化、聞き取り調査に時間がかかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の電子化を完了する。 また、追加で聞き取り調査を行いつつ、論文化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は研究最終年度として資料の電子化を完成させる予定であった。しかし資料が物理的にあまりにデリケートなため、人員を雇う予定を変更し、自分でおこなうことにした。そのため人件費を使用しなかった。 また、補完的に行うとしていた聞き取り調査の重要性が増したが、まだ二名しか実施できておらず、十分とは言い難い。 資料の電子化と聞き取り調査が完了していないため、期間延長を申請した(承認済み)。資料の電子化は自分でおこなうので、その分の未使用額は主に聞き取り調査に充てる。
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Research Products
(4 results)