2014 Fiscal Year Annual Research Report
在日朝鮮人学生団体に見る「祖国」意識――1960~70年代を中心に
Project/Area Number |
23730504
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 友子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (20516421)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換(韓国) / 韓国 / ナショナリズム / アイデンティティ / 祖国 / 在日コリアン / エスニシティ / 学生運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本に居住する在日朝鮮人の「祖国」に向かう思想と行動を歴史的観点から考察することを目的としていた。具体的には、在日朝鮮人のうち韓国籍を持つ大学生が参加していた「在日韓国学生同盟」という学生団体の、1960年代から70年代の活動を研究対象とした。 研究最終年度を1年延長した今年度は、資料の電子化を完了させ、研究途中から位置付けの高まった聞き取り調査を継続した。また、本テーマに関心をもつ研究者による小規模の研究会での発表や、国内外で関連分野を研究する研究者との個別討議(統一人文学世界フォーラム2014「東北アジアにおけるコリアンの民族主体性の継承と変容」)によって研究の進捗状況や資料読解、分析の方向性の検討・確認などをおこなった。 研究期間全体を通じた研究の成果は次のとおりである。資料発掘と収集・電子化については、約500点の資料の存在が確認された。そのうち貸与可能なものは電子化が完了した。ただ、収集できた資料には地方的偏りがあり、また、定期刊行物も通巻でそろっているものはほとんどない。今後も資料の所在確認、発掘作業が必要である。 資料および聞き取り調査をもとに、得た知見は以下のとおりである。60年代の彼ら・彼女らは本国の民族民主主義運動に連帯し支援するとともに、在日同胞の権益擁護運動を活動の軸としていた。団体内部で祖国への思い/思い入れや、自らの民族性をどう捉えるかには温度差がある。祖国意識形成の背景に注目してみると、母国訪問団や数々の翻訳資料(本国の人の声)など、本国との物理的・時間的な距離を埋める装置が存在していた。総じて、先行研究から抜けおちていた60年代の在日朝鮮人学生層の思想と行動を把握することができた。
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Research Products
(1 results)