2013 Fiscal Year Research-status Report
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23730506
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
渡辺 めぐみ 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (60401577)
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Keywords | グリーンツーリズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本のグリーンツーリズムの中核をなしている女性労働、とりわけ感情労働の実態について着目し、問題提起を行うものである。 平成24年度は、日本のグリーンツーリズムが参考とするイギリスのグリーンツーリズムの実態を明らかにし、その問題点として、フェアトレード運動と地産地消運動の矛盾点について提起した。 平成25年度は、この研究経過を踏まえて、グリーンツーリズムとフェアトレード運動の記事分析を行った。その結果、日本における地産地消の取り組みはある程度の認知が進んでいるが、フェアトレード運動は未だに啓発段階で、地産地消運動との矛盾をおこすほどの段階に至っていないことが明らかになった。 グリーンツーリズムの記事分析においては、安心院方式への注目が目立ち、日本のグリーンツーリズムの方向性が、教育旅行の分野で定着しつつあることがわかった。ここでは、地域住民の「普段の生活」を体験させるという「ほんもの体験」への需要が高いことがうかがえた。この点を踏まえ、「ほんもの体験」と「域産域消」を中心に据えたグリーンツーリズム先進地とされる長野県下伊那郡、飯田市の事例研究を行った。 その結果、教育旅行の受け入れを主体とする民泊においては、イギリス同様、農村地域の副収入として成果を上げていること、また、民泊において女性が果たす役割が非常に大きいことが明らかになった。民泊の実施は、女性の介護や育児などの事情によって中断されやすいことからも、その労働が不可欠であることは明白であるにも関わらず、その貢献については明確化されにくいという問題点も明らかになった。また、中学生等の受け入れはさまざまな面での負担が増加しつつあるが、この点については地域ぐるみでの対応や、行政の支援が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グリーンツーリズムにおける女性労働の問題点及びフェアトレード運動と地産地消運動の矛盾点について、実態と問題点の把握は進捗し、仮説は構築しているが、論文執筆のために必要な「公開可能なデータ」の収集の点で今一歩となっている。平成26年度に、論文掲載可能なデータの収集を加速することにより、研究の完成をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、夏季に、中期的なフィールドワークを集中的に実施し、現在までに得られた仮説を実証し、年度中の成果公開を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
長野県下伊那郡、飯田市の事例研究が時間を要したため、夏季にフィールドワークのための十分な時間が確保できなかったことによる。 夏季に集中的にフィールドワークを実施することにより、平成25年度に実施できなかった調査をあわせて行う。
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