2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730506
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
渡辺 めぐみ 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (60401577)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ジェンダー / グリーン・ツーリズム / 農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本におけるグリーンツーリズムにおけるジェンダー問題及び感情労働の問題について明らかにすることを目的とするものである。そのために、とりわけ女性の活躍が期待されている農家民宿に着目し、フィールドワーク及びインタビュー調査を実施した。 日本の農家民宿の特徴を明らかにするため、日英比較も行った。農家民宿業が副業として行われている場合、日英ともに女性の労働力があてられているが、とりわけ日本においては、一般の宿泊業との差別化のため、宿泊費は抑えながらも、「親戚のような温かい心の繋がり」「都市と農村の交流の促進」といった形で、感情労働が強く求められていることが明らかになった。年間を通じて都市からの宿泊客を受け入れるならば、家庭の中で日々、初対面の都市住民とのコミュニケーションを行うこととなる。「交流」といっても、相手が「お客様」である以上、多くの気遣いを要する。これは、接客の訓練を受けているわけでもなく、感情労働から来る負荷をどう管理するかといった技術も無い農村女性にとって、大きな負担となる。よって必然的に、季節的な制限を設けた営業形態など、稼働日数の減少によっての対応をせざるを得ず、採算が合わないと言うことになる。十分な収入がなければ、洗濯・掃除・調理・後片付けといった、上乗せ分の家事は、女性の無償労働となる。現状、ジェンダーの視点から、農家民宿の推進には大きな課題があると言える。
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