2011 Fiscal Year Research-status Report
自己,他者,ロボットの比較における認知的メカニズムとwellbeingの関連性
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23730579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上出 寛子 大阪大学, 基礎工学研究科, その他 (90585960)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Human-robot interaction |
Research Abstract |
他者との社会的比較における自尊心維持のメカニズムを説明したTesserの自己評価維持モデルを,人間によるロボットとの社会的比較に適用できるかどうか検討した.自己評価維持モデルは,自己は自尊心を維持,高揚させるため,(1)他者との心的距離,(2)課題の遂行度,(3)課題の自己関連性の3つの要素に対して認知的,行動的な働きかけを行うことを説明している.本年度は,(2)と(3)に注目し,ロボットによる社会的活動としてプレゼンテーションを用いて実験を行った.具体的には,事前にプレゼンを上手に行うという課題に関する自己関連性を測定しておき((1)の評価),客観的にロボットのプレゼンの上手さを操作した上でロボットのプレゼンを観察した後に,上手さを自己と比較させた((2)の評価).さらに,ロボットとの適応的な関係性を視野に入れ,ロボットに対する安心感を測定した. 10代から60代の139名の男女日本人を対象に(各条件に約36名ずつ, 男性67人),ロボットの一例としてASIMOを用いた実験を行った.プレゼンテーションは全部で約10分であった.プレゼンに関しては先行研究から,重要な内容を強調する非言語行動と,ターゲットへの配慮行動の2次元で非言語行動を操作することとした. 実験の結果,プレゼンを上手に行うが自分にとって関連が高い場合には,ロボットの客観的なプレゼンの上手さにかかわらず,ロボットよりも自分の方がプレゼンは上手であるという評価を行っており,自己評価維持モデルの予測と一部,一致していることが示された.ただし,ロボットのプレゼンは上手であると評価するほど,ロボットに対する安心感は高いことも示されており,ロボットの社会的活動内容とそれらに対する個人の自己関連性のバランスを考慮する必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己評価維持モデルを対ロボット関係で検討し,対ロボット関係における人間のwell-beingを検討することが本研究の目的である.これまでの実験において,自己評価維持モデルの予測する認知的傾向が,対ロボットに対しても適用されていることが示されており,さらに,well-beingを考慮する上でロボットに対する安心感との関連においても新たな知見を得ることができている.したがって,これまでの達成度はおおむね順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験ではロボット1台のみを用いて検討を行った.今後は,異なるタイプのロボット(車輪方やアンドロイド)を用いて,同様の結果が得られるかどうかを検討する余地がある.また,個人とロボットの関係における第3者としての他者がいる際に,他者からのフィードバックが与える影響に関しても検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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