2012 Fiscal Year Research-status Report
自己,他者,ロボットの比較における認知的メカニズムとwellbeingの関連性
Project/Area Number |
23730579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上出 寛子 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90585960)
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Keywords | 社会的比較 |
Research Abstract |
人間にとって重要な課題をロボットが遂行した場合に,ロボットの遂行レベルをどのように推測するかについて,実際の遂行レベルを操作した上で,ロボットに対する安心感評価との関連から検討を行った。139名の10代から60代の日本人男女が実験に参加し,ロボットのプレゼンテーションを観察し,内容についての抜き打ちテストを行った。ロボットのプレゼンテーションは動作を4パターン用意し,内容の伝わりやすさを操作した。観察の前に,プレゼンテーションを人前で上手に行うことに関する個人の重要性を測定し,抜き打ちテストの後に,ロボットのプレゼンテーションのうまさの評価と安心感を測定した。 抜き打ちテストの結果,客観的にはロボットのプレゼンテーションのうまさには有意な違いが示された。しかしながら,客観的なうまさとは関係なく,自分にとって上手なプレゼンテーションが上手な場合には,ロボットに対する評価を下げることが示された。しかしながら,一方で,ロボットの遂行レベルは高く評価されるほど,ロボットに対する安心感が高いことも示された。 これらの結果から,ロボットの遂行レベルは高いほうが安心感を促進するが,個人にとって重要な課題の場合には,ロボットに対する評価を下げる傾向があるため,人間の仕事をロボットが変わりに実施する際には,使う人間の個人的重要性を考慮する必要性が示唆された。今年度は,プレゼンテーションのみを実験に用いたが,次年度には,課題が異なる場合や,他者からの評価を考慮した検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自己とロボットの比較が,ロボットへの安心感という適応概念といかに関連するかについての認知的なメカニズムを,実機ロボットを用いた実験により実証することができた。しかしながら,これまでの研究結果から,ロボットに対する擬人化の程度が,このような社会的比較と関連することが新たに明らかとなってきた。本研究課題の目的である自己と他者,ロボットにおける社会的比較のメカニズムを解明するためには,ロボット自体がどの程度の人間らしさを持っているかを定量的に測定し,どのようなロボットに対してどのような認知が行われるのかを検討することが重要となる。これは研究が進展するうえで明らかになった新たな発見であり,その分,当初の目的の達成から若干遅れることとなった。次年度においては,課題の内容を吟味しながら,自己とロボットの社会的比較において,他者の視点やロボットの人間らしさがどのように影響するのかを,個人のwell-beingやロボットへの安心感との関連から検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
ロボットに対する遂行度の見積もりに,他者からの評価に対する推測がどのように関連するのかを,ロボットの違いとの関連から明らかにする.まず,ロボットに対する人間らしさを測定するための尺度を作成する。また,提示刺激として,人間らしさの程度が様々なロボットを用意する。参加者は,複数のロボットと第3者がいる場面を想定し,その後,第3者が自己とロボットに対して,2つの課題がどの程度遂行できると思っているのかについて推測してもらう.これにより,自己―他者―ロボットが存在する場における認知的メカニズムをコミュニケーション行動との関連から明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ロボットに対する人間らしさの帰属の程度を測定する尺度を作成し,複数のロボットの写真を刺激として提示したオンライン調査を行う。尺度作成のためのデータ収集と,ロボットに対する評価や他者評価の推測などは,一度の調査で収集可能である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 己-ロボットの社会的比較2012
Author(s)
出寛子, 川辺浩司, 重見聡史, 新井健生
Organizer
第30回日本ロボット学会学術講演会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター
Year and Date
20120917-20120920
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