2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730591
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉澤 寛之 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70449453)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 社会系心理学 / 教育系心理学 / 反社会的行動 / 行動決定過程 / 文化普遍性 / 社会的情報処理 / 自己制御 / 実行認知機能 |
Research Abstract |
本研究では、犯罪や非行、攻撃行動などの反社会的行動に至る行動決定過程を意図性の観点から分類し、各過程による説明力の差異を明らかにする。さらに、社会問題として深刻化している犯罪者の再犯性の問題は、行動決定に至る過程が不明確であることにより生じている可能性が高いことから、本研究では併せて行動決定過程と常習反社会性との関連を検討する。 本年度は研究1として、「行動決定過程による反社会的行動の予測力の比較」と「行動決定過程の文化間普遍性に関する研究」を実施した。行動決定過程は不随性行動決定過程、随意性行動決定過程、機能欠陥行動決定過程の3つに分類されるが、不随性行動決定過程を測定する方法を開発すると同時に、後者2分類を測定する調査を実施した。また同調査においては、各行動決定過程に基づく測定指標とサイコパス傾向との関連も併せて検討を行った。 まず一般中学生を対象に、機能欠陥行動決定過程を統制した上で、随意性行動決定過程によるサイコパス傾向の予測力が存在するか否かを検討した。分析の結果、機能欠陥行動決定過程に該当する前頭葉機能の統制後も、随意性行動決定過程に該当する社会的情報処理指標とサイコパス傾向指標とに多くの有意な関連が残り、特にサイコパス傾向の一次性特性と自己中心的な認知の歪みや一般攻撃信念との間に強い関連が存在した。したがって、機能欠陥行動決定過程とは異なる予測力が随意性行動決定過程に存在することが明らかにされた。児童養護施設に入所中の被虐待児を対象とした調査も終え、現在分析中である。 また反社会的行動の発達的変遷に関する国際シンポジウムを企画・開催し、随意性行動決定による反社会性の予測力を裏づける知見が多く報告された。同シンポジウムに招待したイタリア人研究者であるGianluca GINI氏とは、行動決定過程の文化普遍性を検証するための調査について打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、平成23年7月下旬の事務連絡にあったように、東日本大震災の影響により交付決定額の減額の可能性が懸念されたため、科研費の執行を年度途中まで控えていた。そのため、研究協力者への実施の依頼を行うことができず、それにより当初計画していた調査の実施が不可能となった。したがって、新たな調査実施先を開拓する必要性が生じたことから、当初の平成23年度分の計画をあまり達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平成23年度の研究計画で達成できていなかった計画の実施と、その遅れに対応させ調整した平成24年度の当初計画を実施する。平成23年度分計画については、児童養護施設入所児を対象とした調査のデータ分析、不随性行動決定過程の測定方法の開発と、行動決定過程の文化普遍性を検証するための国際比較調査を実施する。平成24年度計画は研究2として、「再犯者と非再犯者との比較研究」「生涯型反社会性と青年期型反社会性との比較研究」「サイコパスとの関連」の各研究について、各調査の準備を行うと同時に、実施可能な調査は年度内に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は平成23年度分の研究費を大幅に繰り越したため、その研究費を中心に執行する予定である。不随性行動決定過程の測定方法の開発に必要な経費、機能欠陥行動決定過程を測定する認知機能査定キットの購入費、国際比較調査の打ち合わせや実施のための旅費、本研究で得られた知見の成果発表のための旅費に充てる。さらに、残額については、当初平成24年度計画にある研究に必要な経費に充てる。内訳は、各調査に必要な経費および旅費、研究知見の成果発表の旅費などである。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] The power of neighborhood interaction factors versus social composition in predicting social development: International research of Asian and American adolescents.2011
Author(s)
Yoshizawa, H., Yoshida, T., Park, H., Nakajima, M., Ozeki, M., & Harada, C.
Organizer
European Congress of Psychology
Place of Presentation
Istanbul, Turkey.
Year and Date
2011年7月7日
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