2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730591
|
Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉澤 寛之 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70449453)
|
Keywords | 社会系心理学 / 教育系心理学 / 反社会的行動 / 行動決定過程 / 文化普遍性 / 社会的情報処理 / 自己制御 / 実行認知機能 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続き、研究1として、「行動決定過程による反社会的行動の予測力の比較」と「行動決定過程の文化間普遍性に関する研究」を実施した。行動決定過程は不随性行動決定過程、随意性行動決定過程、機能欠陥行動決定過程の3つに分類されるが、不随性行動決定過程を測定する方法の開発を感情誤帰属手続きや試筆版潜在連合テストを参考として完了した。さらに、研究2として、「再犯者と非再犯者との比較研究」、「生涯型反社会性と青年期型反社会性との比較研究」と「サイコパスとの関連」について、調査実施先の確定段階に入った。再犯性の高い性犯罪者、少年鑑別所および医療少年刑務所の入所少年に対する調査が確定した。 さらに、各行動決定過程に基づく測定指標とサイコパス傾向との関連に関する分析を引き続き行った。一般中学生を対象に、機能欠陥行動決定過程を統制した上で、随意性行動決定過程によるサイコパス傾向の予測力が存在するか否かを検討した。分析の結果、機能欠陥行動決定過程に該当する脳の前頭葉機能および扁桃体機能の統制後も、随意性行動決定過程に該当する社会的情報処理指標とサイコパス傾向指標とに多くの有意な関連が残った。したがって、昨年度の分析結果同様、機能欠陥行動決定過程とは異なる予測力が随意性行動決定過程に存在することが明らかにされた。随意性行動決定過程である社会的情報処理の発達的変化は、青年期型反社会性の発達的変化に対応させた分析を行う前提として検討する必要がある。そのため、社会的情報処理の発達的変化に関して得られた知見を、学術誌(応用心理学研究)にて報告した。 また、Gianluca GINI氏と行動決定過程の文化普遍性を検証するための調査について打ち合わせを行うため、イタリアに出張した。具体的な測定内容について、調査実施前の打合せの最終段階に入った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初予定していた触法少年対象の調査の実施先が確保できなくなったことで、代替の調査先を確保することが主な作業となった。そのため、当初の平成24年度分の計画をあまり達成できなかった。ただし、年度の最終段階で、今後計画しているすべての研究の調査や実験の実施先が確保されたため、次年度以降の研究の大幅な進展につながる準備ができたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平成24年度の研究計画で達成できていなかった計画の実施と、その遅れに対応させ調整した平成25年度の当初計画を実施する。未遂行分の計画については、研究2として、「再犯者と非再犯者との比較研究」「生涯型反社会性と青年期型反社会性との比較研究」「サイコパスとの関連」の各研究について、性犯罪者、少年鑑別所および医療少年刑務所の入所少年に対する調査の実施とデータ分析を行う。また、行動決定過程の文化普遍性を検証するための国際比較調査を実施する。平成25度計画は研究3として、「行動決定過程の査定バッテリーの開発」に着手する。研究2で得られた知見に基づき、上記の調査で協力を得られる法務技官の指導のもと、少年鑑別所や少年院で実施可能な査定バッテリーを開発する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は過去年度分の研究費を大幅に繰り越したため、その研究費を中心に執行する予定である。国内外の調査の打ち合わせや実施のための旅費・調査用紙運搬費、データ入力のアルバイト雇用費、本研究で得られた知見の成果発表のための旅費に充てる。さらに、残額については、当初平成25年度計画にある研究に必要な経費に充てる。内訳は、各調査に必要な経費および旅費、データ入力のアルバイト雇用費、研究知見の成果発表の旅費などである。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Hierarchical goals and social adjustment: Focusing on interaction effects of contextual variability and congruence.
Author(s)
Yoshizawa, H., Nakajima, M., Yoshida, T., Harada, C., & Tsuchiya, K.
Organizer
European Conference on Personality Psychology
Place of Presentation
Trieste, Italy
-
-
-