2012 Fiscal Year Research-status Report
小中学生の制裁的いじめ加担における恨み感情とシャーデンフロイデの役割
Project/Area Number |
23730604
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40383450)
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Keywords | いじめ / シャーデンフロイデ / 妬み / 恨み / 参加役割 |
Research Abstract |
本研究の目的は、特定の他者の不幸を企図する「恨み感情」と、他者の不幸を喜ぶ「シャーデンフロイデ」のメカニズムの解明を目指しつつ、制裁的な理由によって生じる「いじめ」に焦点を当てて、これらの感情がいじめの関与に及ぼす影響を明らかにすることにあった。 今年度の発表した大学生を対象にした調査では、恨みを抱きやすい者は、恨みの対象とは無関係の(ただし、妬みの対象となっていた)他者の不幸を喜びやすいことがわかった。この調査によって、シャーデンフロイデが仕返しや復讐といった行動に関与している可能性が示唆された。 一方、小中学生を対象とした大規模な調査では、約1700名を対象とした質問紙調査を通じて、いじめの被害者に対する感情(恨み、妬み)が、いじめ勧誘時における参加に及ぼす影響を検討した。いじめを目撃した場合に、いじめられていてうれしいと感じるのは恨んでいる者の場合が一番多く、逆に、同情するのは妬んでいる者の場合であることがわかった。また、いじめを目撃する前に、遊び仲間からいじめに勧誘された時の態度(いじめの賛否、意見表明・いじめ参加の有無)を問い、いじめの参加役割を示す5つのクラスタを抽出した。たとえば、妬んでいる者がいじめられている場合は「傍観者」になり、恨んでいる者の場合は積極的に関わろうとする。なお、妬みも恨みもなく、感情が統制されている場合は、いじめ参加の役割を構成する人数に偏りがないことも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に記した通りに調査研究は進んでいる。ただし、その成果発表は十分ではないので次年度の課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もいじめへの参加に焦点を絞った調査研究を継続して行う。ただし、近年、いじめの形態が多様化していることを受けて、さまざまないじめ目撃場面、たとえば「ネットいじめ」などの視点を加味した検討を予定している。また、今年度は、これまでの研究成果を関連学会で積極的に発表していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査解析に用いるPCならびに成果発表に伴う旅費、また論文作成や調査補助のための謝金などに使用される予定である。
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