2011 Fiscal Year Research-status Report
論理的な言語力を促進する言語活動の開発とその効果の検討
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23730628
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
犬塚 美輪 大正大学, 人間学部, 講師 (50572880)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 言語力 / 言語活動 / 論理的思考 / 教育プログラム |
Research Abstract |
論理的言語力の育成という観点からは,「説明」を促進する言語活動が重要であると考えられた。本年度の目標は,これまでに提案されてきた言語活動についてレビューを行ない,論理的言語力を促進する言語活動としてどのような取組が必要であるかを明らかにし,具体的な教育プログラムの提案を行なうことであった。この目的のもと,書籍や論文のレビューを行なうのと並行して,埼玉県加須市加須小学校や横浜市立生麦中学校を中心として実際の教育現場での活動実態を調査した。レビューの結果,これまでに提案されてきた言語活動の特徴として(1)単一教科あるいは「総合」という教科の枠組みの中での取組が中心であること,(2)イベント型の言語活動が幅広く提案される一方で,日々の授業における言語活動の定着のための取組が少ないこと,が分かった。一方で,実際の教育現場の調査からは,教員が他教科との連携や,日々の授業の中での言語活動の在り方を模索していることが示された。これまでに提案されてきた言語活動と,実際の教育現場での教員の感じ取り方にはギャップがあることが明らかとなり,このギャップを埋めるための介入方法や指導ツールの提案が必要であると考えられた。以上の結果を受け,付箋型ノートの利用や,加須小学校で実践されていた「マイディクショナリー」の作成などの活動を新たに提案した。本年度は,これらの成果の一部を国内外の学会において発表するとともに,書籍において紹介(来年度以降出版予定)した。また,付箋型ノートを用いた教育プログラム案を専門家・現場教員とともに開発し実践への道筋をつけたことが本年の成果である。24年度は,授業実践とその効果の検討を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,論理的な言語力を促進する言語活動を開発し,その効果を検討することである。本年度の目標は,現在すでに提案されている言語活動のレビューを行なうことと,レビューをもとに教育実践の具体案を策定することであった。本年度の研究活動の結果,指導書や教員向け書籍,研究論文などのレビューを実施することができ,また実際の教育現場での課題を明らかにすることができたと考えている。また,学会での発表と情報収集も計画通り実施することができた。実践の具体案もおおむね計画通り策定が進んでおり,24年度1学期半ばから実際に教室での活動が計画されている。以上より,上記の目標はおおむね達成されており,研究目的に向けて順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は23年度に策定した教育プログラムを実施し,その効果を検討するとともに,改善点や実際の教育現場におけるスムーズな実施に向けての整備を行なう。特に,本年の実践に関しては,中学校・高校での数学科や国語科での協力を得る予定であるので,専門家の観点を取り入れるとともに,教育現場の実態により即したものとして実施できるようにするための配慮が必要であると考える。これら実践にかかわる活動と同時に,1年目のレビューの成果を国内の学会などで報告する予定である。H25年度は,教育プログラムの効果をより詳細に検討し,得られた成果として学会や専門誌に発表する。成果の検討においては,パフォーマンス比較だけでなく,教育プログラム実施時の発話プロトコルや,学習者の記述などの質的なデータの分析を行なうことで,実態に関するより詳細な分析を行ないたい。レビューから得られた知見と開発したプログラムについてホームページを作成して広く公開することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際に教育プログラムを実践するにあたり,必要な教具や文献が新たに必要となる。実践を行なう教員との打合せや授業観察のため,協力を得た学校へ出張するための旅費を合わせて申請している。また,実践をより充実した体制でおこなうために,記録やデータ整理などの補助を行なう者が必要である。そのため,本年度の未使用分も合わせて謝金として使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)