2012 Fiscal Year Annual Research Report
三次元空間における物体表面の色知覚メカニズムの解明
Project/Area Number |
23730696
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 一帆 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (50572905)
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Keywords | 色覚 / 色恒常性 / 照明光推定 / 三次元空間 |
Research Abstract |
物体表面の色は,物体から眼に入射する光の波長特性のみから決まるのではなく,そこから観察環境における照明光の影響が差し引かれて知覚される.これにより,我々人間は,照明環境によらない安定した物体表面色の知覚(色恒常性)を可能としている. 前年度の成果として,三次元的な色・輝度情報の分布が物体表面色知覚に影響していること,シーン内において独立光源と知覚される高輝度色光による色恒常性への影響は極めて小さいことが示された.本年度は,心理物理実験により,観察シーンに分布する色情報と物体表面の色知覚の関係を表し,その結果から色恒常性メカニズムにおいて差し引かれる照明光の色度を推定する計算モデルを構築することを目的とした.心理物理実験として,観察者に呈示する視覚刺激の空間的な色分布をコントロールすることで,観察シーン内における色光の色度輝度分布と,各色の空間的な分布頻度及びその分布位置を変化させて,特定のターゲット領域の色の見えを評価する実験を実施した.その結果,色の空間的な分布頻度の効果は,ターゲット刺激近傍において比較的大きいが,シーンに含まれる色光の色度輝度分布の効果と比較すると極めて小さいことが示された.これらの結果を踏まえて,シーンにおける色光の中から,色度輝度分布の輪郭を構成する色光の色度輝度値のみを抽出して,Golzら(2002)の色恒常性モデルに適用したところ,Golzらのモデルを上回る色知覚の再現性を達成した.この研究に関する成果は,2013年3月の国際シンポジウムにて発表,および2013年7月の国際会議で発表予定である.
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