2012 Fiscal Year Research-status Report
顔の認識・記憶におけるジェンダーバイアスの生起メカニズムの検討
Project/Area Number |
23730699
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
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Keywords | 目撃証言 / 顔の記憶 / 顔の認知 / ジェンダーバイアス / 人種バイアス |
Research Abstract |
本研究は,顔の認識や記憶におけるジェンダーバイアスの存在を確認するとともに,集団バイアスの一種である人種バイアスに対して提唱されてきた理論的説明(知覚的熟達要因あるいは社会認知的要因の関与)を手がかりとして,それらの妥当性を検証するために用いられた実験操作を援用することによって,ジェンダーバイアスの生起メカニズムを検討することを研究全体の主な目的とした. 本年度は,特に,社会認知的要因の関与を検討するために,Bernstein et al. (2007)やRhodes et al. (2010)などの研究を参考に,モーフィングによって作成された中性顔をターゲット刺激とした顔の記憶におけるジェンダーバイアスの実験を行った.手続きとしては,学習フェイズでは,ターゲットとなる中性顔が提示される前に「男性」もしくは「女性」という性別ラベル(それぞれ10試行)が1500msec提示され,実験参加者はそれらを覚えるように求められた.そして約20分間の挿入課題が行われた後,テストフェイズでは,ターゲット刺激である中性顔20枚にディストラクターである中性顔が20枚追えられ,実験参加者は提示された顔刺激に対して新旧の再認判断を行うように求められた.その結果,再認記憶課題のHit率の分析において,実験参加者の性別×学習時の性別ラベルの交互作用が有意であった.すなわち,中性顔でも,学習時に性別ラベルが付加されるだけでジェンダーバイアスが生じることから,ジェンダーバイアスには社会認知的要因が関与することが示唆された.しかしながら,一部のデータで仮説通りの結果が示されていないため,追加実験の必要性を吟味するなど,実験の信頼性に関しては慎重な検討が必要であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体の目的は,ジェンダーバイアスの生起メカニズムを検討することであるが,研究実績の概要で記述したように,研究計画二年目の年度として,ほぼ当初の計画通りの実験を実施したため,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,研究計画2年目(2012年度)以降に予定していた2つの実験を行う.なお,これらの実験において,万が一,実験条件や手続きの設定に不備が見つかった場合には,途中で実験をやめ,当該部分を改善した後,新たにデータを取り直すこととする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)