2013 Fiscal Year Annual Research Report
顔の認識・記憶におけるジェンダーバイアスの生起メカニズムの検討
Project/Area Number |
23730699
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
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Keywords | 実験系心理学 / 顔 / 記憶 / 認識 / ジェンダーバイアス / 目撃証言 |
Research Abstract |
本研究は,顔の認識や記憶におけるジェンダーバイアスの存在を確認するとともに,集団バイアスの一種である人種バイアスに対して提唱されてきた理論的説明(知覚的熟達要因あるいは社会認知的要因の関与)を手がかりとして,ジェンダーバイアスの生起メカニズムを検討することを研究全体の主な目的とした. 本年度は,昨年度に行われた研究と同様,特に,社会認知的要因の関与を検討するために,Bernstein et al. (2007)やRhodes et al. (2010)などの研究を参考に,モーフィングによって作成された中性顔をターゲット刺激とした顔の認識におけるジェンダーバイアスの実験を行った.手続きとしては,まず,注視点が500msec提示され.続いて,ターゲット顔に対する男女のカテゴリー化を方向づけるため,「男性」もしくは「女性」という性別ラベルが青色もしくは赤色の背景色とともに2000msec提示された.そして,ターゲットとなる中性顔が500msec提示された直後,ターゲット顔とは別の中性顔(ディストラクター)がターゲットとともに対提示され,実験参加者は,どちらの顔がターゲットかをできるだけ早くかつ正確にキー押しによって判断するように求められた.その結果,判断課題の正答率および反応時間の分析において,いずれの主効果,および,交互作用もしなかった.つまり,昨年度の記憶課題の結果から,ジェンダーバイアスは社会的認知要因が関与する現象ではあることが示唆されるものの,この現象の生起そのものに関わることとして,判断課題のような短期記憶レベルの課題では,そもそも,ジェンダーバイアスが示されない可能性が考えられる.しかしながら,この結果は,実験手続きの不備などの可能性も否定できないため,さらなる実験的検討が必要であると考えられる.
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Research Products
(3 results)