2014 Fiscal Year Annual Research Report
加齢にともなう衝動性の抑制と共感性の変化に関する実験的研究
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23730711
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
川合 南海子(久保南海子) 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (20379019)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 / 抑制 / 共感性 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢にともなう衝動性の抑制と共感性の変化について、初年度は、高齢者に対する犠牲バイアスの有無について、歩道橋問題を用いて実験した。本研究では、若年成人層である大学生が、自分にとっての外集団とも言える高齢者に対して、その犠牲を仕方が無いと考えているバイアスを有しているかどうかを検討した。その結果、高齢者に対して犠牲にしても良いという割合は、他の年齢層を対象にした場合に比べて有意に高かった。これは、高齢者に対して、他の年齢に比べて犠牲にすることへの抵抗感や罪悪感、あるいは不快情動の生起が小さいことが考えられる。 次年度は、フランカー課題とサイモン課題を用いて実験した。加齢による影響の少ない課題と影響を受けやすい課題を同じ被験者に課し、脳活動との関連を調べることを目的とした。大学生と高齢者で比較したところ、従来と同様にフランカー課題では加齢による違いはなかったが、サイモン課題では高齢者の反応時間は若齢者より有意に延長した。フランカー課題では高齢者の脳活動のほうが顕著であった。不一致条件が一致条件よりも有意に脳血流量が増加したのは、サイモン課題の前頭前野右背外側のみであったが、両年齢群間でそれらの変化に違いはなかった。すなわち、若齢者と高齢者で脳血流に差がないときには、刺激-反応の抑制に加齢の効果が見られることが明らかになった。 産育休業を経た最終年度では、単純ギャンブル課題を用いて実験した。大学生と高齢者を対象に課題の遂行と脳活動の関連を調べることを目的に前帯状回を中心に分析を行い、加齢にともなう共感性の機能変化について検討した。また、より日常に即した状況として、鏡を用いた食事場面の実験をした。本研究では鏡映自己像を見ることで食品のおいしさが向上することを明らかにした。気分評定尺度を用いて、仮想的な共食パートナーとの食事と共感性の関係について検討した。
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Research Products
(4 results)