2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害をめぐる教育実践の相互行為研究:社会構成論の教育学的貢献の可能性
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23730810
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Research Institution | Teisei Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
鶴田 真紀 貞静学園短期大学, その他部局等, 講師 (60554269)
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Keywords | 教育社会学 / 発達障害 / 自閉症 / 学校的社会化 / 授業 / 教師 / 相互行為分析 / 質的調査 |
Research Abstract |
本年度は研究代表者の産前産後の休暇および育児休業により、研究活動の中断を申請した(中断期間:平成24年05月07日~平成25年07月31日)。 したがって、本年度は研究期間は中断前の1ヶ月間のみであったが、その間を来年度以降円滑に研究を再開するための準備期間と位置づけ、昨年度の研究活動をまとめると共に蓄積した映像のデータベース化を行った。 中断期間においてもゆるやかに研究を進行させ、実証的研究に関しては(A)これまで蓄積した映像データをもとに、発達障害(自閉症)を有する児童における「泣く」という感情表明が、どのようにして教師によって(障害ゆえの)「パニック行動」としてとらえられていくのかを分析し、論文化を行った(理論的研究に関しては、論文化には結びついていないが本研究における重要文献の読解を進めた)。 また、(B)参加している他の研究プロジェクトにおいて研究報告書に「学校的社会化」をテーマとした論文を執筆した。「学校的社会化」は本研究においても重要なテーマとして位置づけているが、報告書における研究手法(映像データ分析)や分析場面(授業場面)は本研究とも関連性がある(特に論文内における第4節は本研究の直接的な研究成果といえる)。また、分析場面においては、今回は直接的な検討対象としてはとりあげなかったが、発達障害を有する児童が学習参加をするための「特別なケア」に基づいた相互行為が展開されており、今後「発達障害・特別支援教育」という観点から再分析することを予定している。そのため、当該の論文は本研究を来年度再開させる上で基礎的視角となり得ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」において述べたとおり、本年度は研究中断を申請しており、実質的には1ヶ月間というきわめて短期の研究期間であった。しかしながら、中断期間には調査の実施こそ困難であったが、状況をみながらゆるやかに研究は進行させることができ、特に実証的研究に関しては論文化を行うことができた。したがって、研究中断前の1ヶ月という期間でみれば、研究を進行させるには余りにも短く評価自体が困難であるが、中断期間を含めて現在までの達成度を全体的にみれば「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究再開は8月を予定しており、本年度の研究期間は短期間ではあるが、(1)理論的研究に関しては、社会構成論に依拠した文献をもとに研究を継続し、研究代表者が参加している研究会等において発表を重ね着実に推進していく予定である。本年度は特に(2)実証的研究を推進させることを目指している。そのためにこれまでの膨大な映像データ・フィールドノートを整理し、データベースを作成することで、効率的に研究を推進させることができるようにするとともに、分析知見を日本教育社会学会等において発表し、論文を執筆する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理論的研究・実証的研究を推進する上での必要文献の購入が第一の使用計画である。その他の使用計画としては、機材の購入に充てることにしたい(機材に関しては概ね整備されているが、データセッションを実施する上で必要なプロジェクタ等の機材を適宜追加購入する予定である)。
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