2015 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害をめぐる教育実践の相互行為研究:社会構成論の教育学的貢献の可能性
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23730810
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Research Institution | Teisei Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
鶴田 真紀 貞静学園短期大学, その他部局等, 講師 (60554269)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 障害児教育の社会学的研究 / 発達障害の社会的構成 / 相互行為と障害 / 医療化 / 特別支援教育 / 質的調査法の有効性 / 映像データ分析 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本研究期間全体をとおしての研究成果の公表を意欲的に行った。具体的には、理論的研究と実証的研究の成果を博士論文として提出する一方、実証的研究の一部を国際学会において報告した。本年度の成果としては、具体的には次のとおりである。(1)理論的研究では、博士論文の執筆をとおして社会構成論の理論的系譜を整理するとともに、そのような社会学的な方法論に基づいて行われる映像データ分析やエスノグラフィーという質的調査手法が、障害児教育実践の記述を行う上で教育学上意義のある知見を提出可能であることを確認した。また、(2)実証的研究では、これまで産出してきた成果を博士論文として一貫性のあるものとしてまとめた以外にも、特に、発達障害児をめぐる教育現場の医療化現象に焦点をあて検討した。そして、教育における医療化現象が、実践者らのどのようなリアリティのもとで進行しているのかを記述するとともに、そのリアリティを支える基盤となっている要因の一端を明らかにした。 本研究全体をとおして、社会構成論に基づいて発達障害をめぐる教育実践を分析することにより、現場で生起する出来事がいかなる学校的・教育的規範のもとで成立しているかを明らかにすることができ、「発達障害」という概念を捉え直すことでその構成的特質に迫る考察を展開させることができた。このような本研究の成果が有する射程は、障害児教育のみに限定されるわけではない。本研究では「学校的社会化」という概念で示したが、児童として適切な行動様式を習得させるために、学校においてどのような社会化過程が実践されているのか(そして、その一方でどのように「逸脱」が産出されるのか)というような、広く学校教育全体に通じる適応の問題をも広範に検討することができた。
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