2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 知真 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40548187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | p-adic Hodge Theory / algebraic cycles / elliptic curves |
Outline of Annual Research Achievements |
修士課程以来, p進Hodge理論の研究を行ってきた. そこからの研究が派生し, 古典的な複素代数幾何学におけるHodge理論の研究に向かった. この分野において, Deligneによる混合Hodge構造では適切に代数サイクルを捉えることができないという事実に興味を惹かれて, この混合Hodge構造の改良に取り掛かることになり, 独自のカテゴリーを構成することになった. また, それに伴い, Grothendieckが構想を述べて以来, 懸案であった混合モチーフのカテゴリーの候補を提示することになった. このカテゴリーの特徴はサイクルの向きを変えることによって, 幾何的な情報を引き出そうという一見, 安直なものである. しかしながら, サイクルの交差の様子を記述しており, Grothendieckの“サイクルの交差に深い数論的事実が組み込まれている”という哲学にもかなっており, 重要な候補のひとつであると信じている.
一方で, 数論的楕円曲線の研究も行った. この研究では有理点や整数点といった離散的な対象を真に幾何的に, つまり連続的な対象として取り扱おうという試みから始まった. ピーターソン内積という解析的であり, 幾何的であり, 実は代数的でもあるよく知られた道具を使うことにより, 楕円曲線上の有理点があたかも連続に振る舞うことを示した. 特筆すべきことは, 有理点の存在や消滅が各有限体F_pへ還元したときの, 多様体の特異性と深くかかわっているという事実を示したことである.
さらには, このHodge理論と楕円曲線の研究をふたつの柱として理論物理学の研究にも着手することになった.
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