2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740041
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 雅朋 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431302)
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Keywords | 特異点論 / 微分方程式 / 微分幾何学 / ルジャンドル曲線 / フロンタル / フロント / 縮閉線 / 伸開線 |
Research Abstract |
1.微分方程式の特異点論的研究について、implicitな1階常微分方程式系に対する前年度の結果をまとめました。特に、1階のクレロー型方程式の半局所的な分類結果をまとめました。また、完全積分可能な2階のimplicitな常微分方程式に対する型(タイプ)の分類結果をまとめました。さらに、完全積分可能な1階常微分方程式の半局所的な分類を研究集会「An international workshop in Singularity Theory, its Applications and Future Prospects」University of Liverpool (United Kingdom)において発表しました。 2.微分幾何学に対する微分方程式の特異点論の応用については、ルジャンドル曲線の性質を研究しました。前年度の結果を一般的に考察し、ルジャンドル曲線の曲率として2つの関数を定義し、この曲率に対する存在と一意性を証明しました。また、フロントに対して変曲点と縮閉線を定義し、変曲点を持たない場合は、再び縮閉線はフロントになることを示しました。この結果により、繰り返し縮閉線を考えることができ、縮閉線と元の曲線との関係や特異点の情報、n回の縮閉線の式を記述しました。さらに、フロントの伸開線についても定義をし、伸開線の幾何学的な性質を調べました。特に、変曲点を持たないフロントの伸開線もまたフロントになることが分かり、n回の伸開線の式や縮閉線と伸開線の関係を記述し、特異点を持つ曲線の微分幾何学の構築を行いました。 また、エンゲル・ルジャンドル双対性を一般化したG2幾何に付随するカルタン・モンジュ双対性と接線曲面の生成的な特異点の分類を行いました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.微分方程式の特異点論的研究について、微分方程式の定性理論の構築に対しては、1階のクレロー型方程式の半局所的な分類結果と完全積分可能な2階のimplicitな常微分方程式に対する型(タイプ)の分類結果をまとめましたので、おおむね順調に進展していると言えます。 2.微分幾何学に対する微分方程式の特異点論の応用に対しては、前年度の研究の推進方策に従い、ルジャンドル曲線の研究を行いました。この結果、ルジャンドル曲線の曲率を2つの関数を用いて定義し、ルジャンドル曲線の曲率に対して存在性とルジャンドル曲線の合同に関する一意性を証明しました。これは正則な平面曲線における基本定理に対応する結果であり、ルジャンドル曲線の基礎研究を構築することが出来ました。さらに、変曲点を持たないフロントに対する縮閉線の性質と伸開線の性質を研究し、一定の結果が得られました また、G2幾何に付随するカルタン・モンジュ双対性と接線曲面の生成的な特異点の分類を行いましたので、おおむね順調に進展していると言えます。
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Strategy for Future Research Activity |
1.微分方程式の特異点論的研究について、特異点を許容する微分方程式における定性理論の構築を研究します。特に、特異点を許容する微分方程式に対する完全解の存在条件と分類問題の研究を推進します。 2.微分幾何学に対する微分方程式の特異点論の応用に対しては、曲線短縮方程式の研究をルジャンドル曲線を用いることにより行います。さらに、変曲点を持つ場合(フロンタルの場合)の縮閉線や伸開線の性質に対して研究を行い、さらなる特異点を持つ曲線の微分幾何学の構築を推進します。 また、様々な幾何構造に付随する双対性の研究とその接線曲面の生成的な分類問題の研究を推進します。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を推進するために国内外を問わず、特異点論、微分方程式、微分幾何学との専門家との意見交換や研究打ち合わせ、研究成果の発表を行うために、国内・外国旅費を計上します。特に、次年度において、国外(ポーランドとエジンバラ)の研究集会への参加を予定していますので、予算の繰り越しを計画的に行いました。 また、具体例や応用例、理論の確認として、特異点論、微分方程式、微分幾何学、数理物理学関連の図書の整備を行いますので、設備部品費を計上します。 さらに、研究を推進するために、必要があれば学部学生や院生による数値計算や研究補助のための謝金を計上します。
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Research Products
(7 results)