2013 Fiscal Year Annual Research Report
非平坦カラビ‐ヤウ多様体内の特殊ラグランジュ部分多様体の研究
Project/Area Number |
23740057
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
酒井 高司 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30381445)
|
Keywords | 微分幾何 / 対称空間 / Calabi-Yau多様体 / Lagrange部分多様体 |
Research Abstract |
本研究課題ではCalabi-Yau多様体内の特殊Lagrange部分多様体に関する研究を行った.また、関連する話題として、Lagrange部分多様体のHamilton体積最小性に関する研究および極小部分多様体上の特異点に関する研究を行った. 階数1のコンパクト型対称空間の余接束にはStenzelが構成した余等質性1の完備なRicci平坦Kahler計量が入る.橋本要氏(大阪市立大学)との共同研究で,このStenzel計量の対称性に着目し,運動量写像を用いた手法によって,n次元球面の余接束内にSO(p)×SO(n-p)の作用で不変な余等質性1のLagrange部分多様体を構成し,特異点の様子および無限遠での漸近挙動を観察した. Kahler多様体において対合的反正則等長変換の不動点集合として与えられる全測地的Lagrange部分多様体を実形と呼ぶ.複素旗多様体においてk対称空間の構造から定義される一般化された対蹠集合と実形の交叉の構造について調べた.さらに,実形の交叉の対蹠性を利用して,単調なコンパクト型Hermite対称空間において,互いに合同とは限らない2つの実形の組に対するFloerホモロジーを計算した.その応用として,複素二次超曲面内に実形として埋め込まれている球面はHamilton体積最小であることが分かった.これらの結果は入江博氏(東京電機大学),田崎博之氏(筑波大学)との共同研究で得られた. 面積最小部分多様体上の特異点を調べるために,最も単純な特異点である錐状特異点の接モデルとなる接錐について研究を行った.R空間は対称空間の線形イソトロピー表現の軌道として球面に極小に埋め込まれ,その軌道上の錐はEuclid空間内の極小錐となる.大野晋司氏(首都大学東京)との共同研究で,面積非増加レトラクションを具体的に構成することにより,対称R空間とは限らない,いくつかの極小なR空間の上の錐の面積最小性を示した.
|